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その122

久しぶりだね。みんな、みんな、ありがとう

 過日、中学校の同窓会があった。

 前回は5年前の還暦の時だったが、今回の会で新たに3名が物故者として紹介され全員で黙祷した。

 人生は無常で無情、ムジョーの二乗だな。

 今回、一人一言あいさつをしてもらう機会を設定しマイクを回した。

「組、名前、部活動」くらいの内容で私が始めに見本を示したのだが、マイクが回るにつれだんだんと話が長くなる。

 自分の半生まで語る方もいて進行役としては時間が気になる。このままでは、お楽しみのフォークダンスができなくなるではないか。

「あいさつは手短に」とマキをいれたのだが、人によってはどーしても話が長くなる。

 やはり人は自分の人生を語りたいのだな。

 自分としては、いい企画だと思ったフォークダンスだが打ち合わせの段階で他のクラス代表から、積極的な支持の声がなかった。

 強制はしないこと、会場の隅で行うことで、オリアイをつけたが、「私は、やはりヘンなのか」と自問してしまった。

 会場打ち合わせで職員の方に65歳の高齢者の集まりで、フォークダンスをするといったら驚かれたが盆踊りにすべきだったのか。

「ひとりよがりなところがある」と高校の担任の先生に内申書に書かれた私だが間違いではないな。

 自分の姿は自分では見えない「裸の王様」だが、裸ではダンスはできない。洋服が必要だが「洋服ダンス」なんちゃって。

 フォークダンスのCDだが、当然に市立図書館にあると思ったら、CDはあるが「オクラホマミキサー」の曲は入ってないと職員の方が言う。

「なぬ、フォークダンスといえばオクラホマではないか」と昭和Gさんは不満に思う。

 フォークダンス界では「オクラホマミキサー」はすでに「お蔵入りミキサー」なのか。

 あきらめの悪い高齢者は県立図書館に行くが県立図書館でもないと言う。

 私が失望であまりに悲しい顔をしたからか、職員の方が、他の市の図書館の蔵書を探してくれた。

 南相馬市の図書館にオクラホマの入ったCDがあり、蔵書貸し出し交
換交流をしているので予約して福島の県立図書館で借りられるらしい。

 高齢者に優しい図書館はありがたいな。これからも若者に頼って生きていこう。日本の未来は明るい。

 同窓会に参加するため、山口から飛行機で羽田、そして新幹線で福島に来てくれた方もいて本当に感謝だ。

 また、中学校卒業以来ほぼ半世紀ぶりに会う方、小中学校合せて9年間で一度も話をする機会がなかった方とも話せて楽しい。

 最後にクラスごとに集合写真をとったが、次回も同じように元気な顔が見られるのだろうか。

 会の終了後、それぞれ二次会に流れる同級生の後ろ姿を見ながら、私も含めて「これからの人生、残り時間も、そう長くもないな」と思ったりもした。

「♪四年たったら、また会いましょうと、固い約束、夢じゃない」と三波春夫は前回の東京五輪音頭で歌ったが、1年先でさえ「また会う固い約束」なんて私にはできない。

 確実な約束は、いつか将来「あの世」で会うことか。

 上野公園で「水撒き絵」を描いていると、時々「どうして紙に描かないのか」と聞かれることがある。

「儚く消えていくからいいのだよ」と答える私だが「はかない」は漢字で「儚い」で「人の夢」だ。

 同窓会で自分の人生を語った方は、自分の夢をも語っていたのだな。

 フォークダンスの時間確保のためにと、参加者一人一言の「あいさつ」にマキをいれた私は愚か者だ。

 (2019.8.24)アンブレラあつし

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