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その11

テング熱

 上野公園でもデング熱の感染者がでた。

 私は数年前からてんぐ熱に感染している。

 昨年は東京版ではあるが朝日、読売に水撒き活動が取り上げられ調子にのった。

 八月末にはテレビ東京の取材があった。新番組の収録らしい。ますます調子にのっている。

 ブログの内容が面白いと友人からほめられた。てんぐになっている。

 デング熱は最悪死ぬことあるという。注意しなければならない。

 デング熱は蚊でうつる。蚊がいるのは「やぶ」だ。テング熱を治せるのはヤブ医者か。

 上野でイタリア人の男女にあった。

 イタリアなまりの英語と東北なまりの英語で会話した。

 男女の星座のカニとヤギを地面に描いた。

 大げさに感動してナントカーノ、カントカーノとイタリア語で話しかけられるが意味がわからずうるさいだけだ。

 芸術家らしく渋谷の文化村で個展をやっているという。

 メルアドを紙に書いてもらったが達筆過ぎて読めない。

 今晩か明日の午後はギャラリーにいるので来いとしつこく言われる。

 多分行くと曖昧に返事し行こうとも思ったが、餃子の王将で生ビールと餃子二人前を飲み食いしたらホテルでチェックイン後に爆睡してしまった。

 日本人はりちぎでなければならない。彼らを裏切ってはならない。

 イタリア美人のセクシーな英語を聞かなければならない。

 翌日水撒き活動のあと午後から行こうと思ったが新幹線の自由席に争って乗るのもつらい。渋谷行きを断念した。

 不義理をよこしま県出身でりちぎ県ではないと自分にいいきかせた。

 帰宅後メルアドを解読してネットで調べたら変な絵を描いているイタリア人だった。

 私と同じてんぐ熱にかかっているに違いない。

 わざわざ日本に来て個展を開くのだから私以上に重症だ。

 イタリアに遊びに来いと言っていた。

 金持ちかもしれない。貴族かもしれない。

 そうだったらハットするようなピザをごちそうしてくれるだろうか。

 サイゼリアよりおいしいワインを飲ませてくれるだろうか。

 今度サイゼリアに行ったら一番やすいミラノ風ドリア以外も注文してイタリア語の勉強をしよう。

 てんぐ熱はアルコール消毒が一番だ。

 かってに白ワインか、他人の赤ワインか、てんぐ熱にうなされて言霊が蚊のように飛び交う。

 きんちょう感がない。日本の夏は終わったのか。

 世ゼミのぬけがらが残る。

 せみは裸で生まれ裸で死んでいく。セミヌードだ。

 蚊の天敵は蛙だ。かえる所もなくさまようが感染する前に新幹線でよこしま県にかえる。

 熱病は野口英世先生に見てもらうシカない。

 国民保険がつかえれば千円ですむが非国民はいくらかかるか心配だ。

 (2014.10.2)アンブレラあつし

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