「井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室」(新潮文庫)の冒頭に「作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということだけなんですね」と書いてあるのを読み、端的な的を射た一言と思いました。
余談ですがその本の後ろの方には作文教室の生徒が書いた作文が載っていて、わずか400字程度の作文ですが、中には思わず目頭が熱くなるものもあり、妙に感心しました。
上述の一言を読んで思い出したのが、山田洋次監督の映画「学校」の以下のシーンです。
西田敏行扮する夜間中学の先生が生徒に向かって、「君たちの思いを、文章にして伝えたい人に伝えることができれば、もう、この学校は卒業だよ!」(こんな感じのセリフだったと記憶しています)。
山田洋二「学校」
それを聞いた、競馬好きで馬名に使われるカタカナは読めるが、平仮名や漢字は読めないオッサン役の田中邦衛が、おんな先生役の竹下景子に、カタカナを葉書に切り貼りしてラブレターを出します。
さらに思い出すのは、野口英世の母が米国にいる英世に宛てた手紙、「はやくきてくたされ はやくきてくたされ いしよのたのみてありまする(原文のまま)」です。
ただただ、切ない胸の内がひしひしと伝わってきます。
「日本一短い母(家族・父)への手紙」(福井県丸岡町:角川文庫)にも心打たれました。
ツーさん【2018.12.24掲載】
葉羽 シカの手紙は、嘘偽りのない母親としての魂の叫びだね。