研究所勤務で自分自身が実験に勤しんでいた30代の時の話です。
我が恩師森謙治先生が1988(昭和63)年に教科書「有機化学Ⅰ」(養賢堂)を上梓(じょうし)されました(余談:今は新装丁ですが、上梓当時は黄土色で先生は「ウンコ色」と言っていました)。

「有機化学Ⅰ」のカバーと先生のサイン(著者提供)
著者割引(2割引)で安く入手できるので、研究所の有機化学関係者に声を掛けると、10冊ほどさばけそうでした。先生にも印税が入りますのでウィンウィンかと。
希望者は私より年下が多かったので、教育的見地から先生にサインしてもらうことにしました(参考:雑感 52)。
恩師:森謙治先生
10冊もサインして腕が痛くなった、と先生からはお小言をいただきました。
有機合成化学協会誌の1991(平成3)年7月号に先生が、「化学における「詩と真実」」なる報文を寄稿しました。
※「化学における「詩と真実」」はWebで読めます。>>
「化学における「詩と真実」」
(※「はじめに」と「おわりに」だけでも読む価値はあるかと。)
タイトルにゲーテの作品名が入っているように、単なる有機合成の報文ではなく、ちょっと考えさせられるような内容でした。
これは会社で講演してもらわねばと思い、その年の12月には講演に来ていただきました。
報文の内容にさらに肉付けしたものでした。後で言われましたが、「講演の内容を指定されたのは初めてだ」。
ゲーテ「詩と真実」4巻
後に学士院会員となられた大先生に対して、結構図々しい振舞いだったかと、今にして思えば。
でも飲み会の2次会では何度かHな店にも案内しましたし(雑感 417)、結構持ちつ持たれつ、だったかと。こういう関係は文系の方にはないと思いましたが、もしかしたら理系でも希有かもしれません。
錦糸町のHな店(イメージ:笑)
タイトルは当初「図々しい奴」を考えましたが、映画化までされた大作家柴田錬三郎の小説名でしたので、表題の如くに。