私が勤めていた会社の経営理念は、「信(しん)を万事の本(もと)と為す」と「時代への適合」を社是とし、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」を企業理念とし、生活産業をグローバルに展開する、でした。
「信為萬事本」
経営理念と企業理念がどう違うのかとかはともかく、社是を2つ述べよと言われれば間髪入れずに答えることはできました。
仕事を進めるうえで社是を常に意識していたとは言い難いのですが、その言わんとしているところは踏まえていました。
社是・社訓・経営理念
「時代への適合」はともかくとして、「信を・・・」は中国史書に由来し、信用・信頼を全てにおいて大切にしなさいという意味で、社是にしている会社は結構多いみたいたいです。
お客様の信用信頼を築くには長い年月を要し、失う時はあっという間で、そんな不祥事が起きるたびに部下の方々に言ったものです、対岸の火事とせず他山の石として下さい。
B to C(一般消費者相手のビジネス)業務もありましたので、いわゆる下請け業者の方であっても、当社のお客様、またはお客様になる可能性のある方で、そういう意識で対応しなさい、ともよく言っていました。
「発見」(幻冬舎文庫)
以上の執筆の経緯は、最近読んだエッセイアンソロジー「発見」(幻冬舎文庫)執筆者の一人に清水義範がいて、40代前半の頃に彼の小説は結構読んでいて、社是に関する短編があったことを思い出したからです。
「バラバラの名前」(新潮文庫)という短編集の中の「モットー選定会議」という、会社のモットー、いわゆる社是を決める話で、他社のモットーを調べ「・・・〇〇会社は『信は万事の本なり』。何を言っているのかよくわかりませんが・・・」との部分に、思わず吹き出した記憶が蘇ったからです。
「バラバラの名前」(新潮文庫)
ツーさん【2024.4.1掲載】
葉羽 「信を万事の本と為す」は多くの日本企業で社是とされているね・・日清製粉とかジャックス、NBCとか。もともと史書「新唐書」の言葉で、日本では山岡鉄舟や後藤新平、渋沢栄一らも好んで用いたと言われるようだ(検証していない)。有名な言葉なんだね。