最近ほぼ同じ頃に、浅田次郎編「見上げれば 星は天に満ちて」(文春文庫)と短編アンソロジー「学校の怪談」(集英社文庫)を読み終えました。
どちらも特に読みたかったというわけではなく、前者は浅田次郎編だったから、後者は集英社文庫の他の短編アンソロジーを全て読んでいたからと、流れで読んだ感じです。
「見上げれば 星は天に満ちて」
「見上げれば」は浅田次郎の「心に残る物語」13作品が収載されていて、作品発表時期は数十年以上前のものばかりです。
その中の一つ谷崎潤一郎の「秘密」の出だしは「其の頃私は或る気紛れな考から、今迄自分の身のまはりを裏(つつ)んで居た賑やかな雰囲気を遠ざかつて、いろゝの関係で交際を続けて居た男や女の圏内から、密かに逃れ出ようと思ひ、方々と適当な隠れ家を捜し求めた揚句、浅草の松葉町辺に真言宗の寺のあるのを見附けて、やうゝ其処の庫裡(くり)の一と間を借り受けることになつた」。
若き日の谷崎潤一郎夫妻
明治44(1911)年発表ですので、もう100年以上前の作品です。ちょっと前に読んだ梶井基次郎の「檸檬(れもん)」も100年近く前の作品集です。
100年前の文章でも読むには読めます。ただし、読む方に力を注ぐあまり、内容はなかなか頭に入ってきません。昔の人の方が国語力に勝っていたのでしょうか。
「学校の怪談」
一方の、昨年5月発行の「学校の怪談」には次のようなくだりがあります。「・・・馬鹿馬鹿しい。小学校ならまだしも、高校の、それも令和の時代に学校の怪談はないだろう・・・」「・・・わたしLINEやめた。今度から連絡はショートメールにして・・・」「・・・ブログとSNSのURLをメモに控え・・・」。
時代の変遷を感じずにはいられませんでした。
ツーさん【2023.7.31掲載】
葉羽 谷崎潤一郎夫妻と書いたけど、彼は3回結婚してるんだよね・・美女ばかり。若い時の写真なんで最初の奥さんだと思うんだが。多分(笑)