試合には出なくなっていたが、相変わらずリンクには通っていた。
AW市のM子が世界選手権に出場すると耳に入ってきた。
F県からのワールドカッパーだ。
いくらマイナースポーツのショートトラックとはいえ、これはもう、とんでもない快挙だ。
子供の頃から一緒にサーカス(転戦)していた仲間だった。
(へぇ、俺の後ろをヨチヨチ滑ってたアイツがねぇ・・・)
何の感動もなかった・・・
ガチンコで滑る娘だった。ちゃんと応援するべきだったのに、そんなことすら判らなくなっていた・・・。
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女子スピードスケート |
工業高専の学生は皆、バイトをする。
身入りの良い夜の街へと出入りを始めた。
最初は合宿・遠征・学費の為などと理由を付けていた。
これが、人生の曲がり角だったに違いない。
中学の同窓生が大学の受験勉強をしている時に、僕はBARのカウンターでシェーカーを振っていた。
少し経つと僕は世の中を舐め切ってしまっていた。
下手なリーマンより稼げるようになっていたのだ。
(なんだ、生きるのなんか簡単じゃん!)
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シェーカーを振る |
バイト先のママがとても気さくで、なんていうんだろう?
そう、男前の女だった。
店が引けると良く一升瓶を片手に持って、床にアグラをかいては、デンと瓶を置いて、
「ヒデ坊、飲もう!」などと言うのだ!
外見がいかにも女らしくて、男前に振舞う女性はステキだ!
そりゃ、もう天使に見えてしまう位の話しだった。
どこかに、きっと、翼を忘れてきちまったんだね!
僕はたちまちの内にのぼせ上って恋に落ちた。
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ツーリング |
二人で良くバイクに乗ってツーリングをした。
ほほを撫で、髪を流す風が幸せって奴を物語っていた。
「この人の為なら死ねる。」などと本気で思った。
(『愛と誠』の時代だった。)
「俺が守ってやるよ!」などと良く口走っていた。
いったい、僕の何処にそんな要素があったのだろうか?
一緒に住もうと申し出た時、彼女は言った。
「アンタと出会えて良かった。」
「アンタと恋せて良かった。」
「どんな時間に連絡があったって、無理してでも会いに行くから、
だから、暮らしだけは持ちかけないで!!」
なんじゃそりゃぁ~ 良く判らないぃ~!
プロフェッショナルなオミズは、
・本当の顔で本当を言う
・本当の顔で嘘を言う
・嘘の顔で本当を言う
・嘘の顔で嘘を言う
それをまったく自然に使い分ける。会話のマジシャンなのだ・・・
僕は悩み続けた・・・
(ほらぁ、そこの君! だめだよぉ、そんなに熱上げて通いつめちゃぁ!)
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バイバイ |
やがて、年度末考査の時期が来て、しばらくの間、学び舎に帰っていた後、久しぶりにBARに戻って見ると彼女は消えていた。
オヤジ(オーナー)に、「ヒデユキ、あいつ何処に消えたか知らねぇか?」と問いただされたが、
「いえ、私は知りません。」と、出きるだけクールに装って答えるのが精一杯だった。どうやら、オヤジんとこの若い衆も居なくなったらしい。
そんなぁ~
こんな、ドラマみたいなことってば、あってたまるかぁ!!!
バカヤロ~ 泣いてたまるかっつうの!
その夜、僕は声を殺して笑った。
もう、笑うしかなかった。
こうして、僕の一世一代の恋は終わった・・・。
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失恋 |
今だから、思う。
あの人は、「このままじゃ、この子は駄目になる。」そう思って、身を引いてくれたのだと!!
悲しいかな、そう、男ってぇ生き物は、なんでも都合良く解釈しちまうものなのだ。
僕は二度目の留年を決めて、放校処分が決まり、その街、F県I市を去った。
風のウワサに、静岡で彼女は幸せに暮らしているらしい。
18のキツイ失恋であった・・・。
僕はといえば、折角、退学になったので、大学受検を目指す事となるが、父にとんでもない田舎町に幽閉されることとなったのだった。
(ネオンがないぃ~)
なんだか、中浪よりカッチョワリィことになっちまったぞぉ~
上を向いたらキリがない 下を向いたらアトがない
泣いてたまるかっ! 夢がある
(by 朱雀RS 2012.4.19 リニューアル・アップ)
葉羽さま いつも、編集有難う御座います。
うちの学校なんか写ってるし、猫は可愛いし、
福島駅に雪が舞っているし、スゴイィ~
どうやって探して、どうやって、手に入れているのか、
いつも不思議です。
JAVAは使いこなせるだけで仕事になるらしいし・・・・
本当に多才なんですね!!
配置やアレンジも、とても凄くて、
いつも、自分の文章じゃないみたいです。
これからもよろしく。
朱雀RSでした。 |