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 #767 外伝/年寄りの戯言3
by 榮ちゃん
 Photo by 榮ちゃん
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【年寄りの戯言】その3(少し長いです) こういう話はリアルに書くと、一発でどこの誰だか判ってしまうけど、あまりにボカシて書くと何の話かわからなくなるのでかなり面倒なんですが。

 私には幼稚園から中学校まで同学年だった男性が居ました。 幼稚園の頃はかなり仲良しでしたが、小学校からは不思議に同じクラスになったことはなく、自然と疎遠になり、彼は高卒で都内に就職したので音信も絶えました。 彼の実家は食料品店というのを営んでおり、昭和の中ごろには町内に1つはあったようなお店でした。

 生鮮食品以外の食品(お菓子とか缶詰とか飲み物とか干物とか)を販売するようなお店です。冷凍食品なんてあまり無かった時代です。 世の中の流れを考えれば、流石にそれでは先行きが成り立たないと思ったのでしょう、彼の父上は酒販の免許を得ます。

 当時の酒販免許はかなり厳格で、近距離に別の酒販屋さんがあると免許は下りなかったのですが、彼の父上は社会貢献活動にかなり熱心に取り組まれた方で、その筋の力なのか、無事に酒販免許を得ることができました。 ウチの親父もそれからは酒はそこから買うようになりました。

 時代は流れ、彼の御両親は他界され、彼が戻ってきてそのお店(食べ物種類が豊富な酒販店)を継承するわけです。 朝早くから夜遅くまで、一生懸命仕事をしていたように思います。 自販機でビールが買えなくなってきた頃なので、夜中までやってる酒販店は結構流行ってました。

 しかし、そんな彼を時代の波が襲います。 コンビニで普通に酒を売るようになってしまった。。。しかも1分も歩かない所に駐車場完備で24時間営業のコンビニがあるわけです。 そこからは伝え聞く話だけですが、 引き籠りになり、かなり精神的に病んで外部との交渉を断ち、生活保護を受けて生きてはいたようですが、最終的に先月孤独死されたそうです。 いわゆる特殊清掃が必要な状況だったという話でした。

 あえてこの話を書いたのは「時代は変わる。自分も変わることを恐れずに挑戦しないと茹でガエルの如く、いつの間にか時代に潰されてしまう」という事実をどこかに残さないとイケないと思ったからです。 悲しいですが、貴重な実話だと思っています。

(2025.4.22掲載)

 

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