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その39「下手がいい 5の巻」 | |
ピカイチ君の絵手紙を元ネタに僕が書いていくシリーズの第5弾。 今回のお題は、これでございます。 「幸福と長寿」!
花が福寿草ですので季節が合いませんが、問題なのはそこではなく「心臓病に効く」という部分でございます。 「通信」のいろんなところでカミングアウトしましたが、僕は小さなときに身体が弱かったのです。 生まれてすぐ、お医者さんから、「この子は3歳まで生きられないね」と両親にダメだしされたのですから。 消化器、呼吸器、聴覚といたるところに障害を抱えていたのですが、小学校の高学年になったあたりでとりわけ深刻だったのは「心臓」でございました。 時折、心臓が鷲づかみにされるような苦痛がありまして、動けなくなるのです。 お爺さんが心臓弁膜症で死んでいますので、まあ、そんなロクでもないところを受け継いだのだろうと達観しておりました。(小学生なのに!) ただ、そのことは、今は亡きばあちゃんにしか言ったことはなかったのです。 両親には、散々心配かけどうしでしたから、「ま、今さら余計な心配事を増やすこともない」と。 ところが、ある日・・・何の気の迷いか分かりませんが、その苦しみ~心臓そのものではなく、自分だけの心に秘めているという苦しみから逃れたくて、カミングアウトしたくなりました。 そして、学校の「作文」に、切々と書いてしまったのです。 (今思えば、何か心が折れそうなことでもあったのでしょう。) 担任の I 教師は、それを見て「やっと、お前という生徒が理解できた」と言ってくれました。 うれしくて、泣きそうでした。 さて、ここで大事件が発生いたしました!! 作文を返された日、(理由は覚えていませんが)クラスの生徒は僕も含め、返された作文を机の中に入れっぱなしだったのです。 (そのあと水泳の授業でもあったのでしょうか・・) それを、教室に残っていたK子たちの女子グループが「盗み見」して大笑いしていたというのです。 あらららら・・。 「何コレ~! バカじゃないのぉ」 「ナニナニ・・・『今日、ぼくはケケートにいきました。とても楽しかったです』って!」 「こいつ、スケートをケケートなんて書いてるよ、ぎゃはははは!」 「あら、こいつ、●●子が好きなんだってよ。ぎゃはははは!」 ・・・・と、そんな「暴き」が続き、いよいよ僕の机に。
「・・・・・・・・・!!」 凍りついたのは、K子の方でした。 「ナニナニ、どしたのー!?」 「これは、見ちゃだめ!!」 「えっ、何でよぉー?」 ~と、その「カミングアウト作文」は、K子一人が心に固く秘することと、あいなったのでございます。 数十年後・・・ 「ということだったのよ。オキシ、ホントにゴメン!」 「ええー! あん時の作文、盗み見したのー!?」 「気になってたのよねー。あの頃、オキシ一人だけ、みんなと雰囲気ちがうってゆーか・・」 「ま、いつ死んでもいいって覚悟してたからね。4歳より後は“オマケの人生”だし」 と、そんな会話がありまして。 K子は、「岸波通信」の一番の理解者の一人となりました。 人生って分かりませんね。 (そもそも“オマケの人生”で孫までできちゃったのですから!) ・・・たぶん、ばあちゃんが「福寿草」の根を煎じて飲ましてくれたんでしょうね。 ここまで元気で長生きしてるなんて。 「で、誰なの?」 「ん? 何?」 「“ケケートに行きました”って書いたアホは?」 「ヒ・ミ・ツ~!!」 「けち!」
←(美談で終わっときゃいいのに!) 右の背景写真は、新年を告げる福寿草。可憐だけれども、厳しい寒さの中で力強さを感じさせる花です。
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