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その30「公共空間のキーワード♪の巻」 | |
ピカイチ君の「欧州のまちづくりレポート」のシリーズ第八話でございます。 【ヨーロッパの公共空間のキーワード】 今回の研修において限られた時間の中で自分の目で町並みを観てきた。 各国がそれぞれに持っている固有の歴史的蓄積をそのまちのアイデンティティーとして公共空間があるようだ。 日本と比較してのキーワードは以下のとおりである。 ・整然とした石造りの重厚な町並み(高さ、色、デザインの統一) ・放射状・環状の道路網(プラタナスの街路樹、街路の一点透視) ・大規模な公園,教会の広場(潤いと交流のオープンスペース提供) ・すっきりした景観(電柱電線の排除と徹底した公告、看板の制限) ・楽しい歩道(シャッターがない気品のあるショーウィンドー) これらの公共空間は18cまでの絶対王政のもとで造営されたものであるが、中世のまちづくりを原点とし、市民革命で打倒した遺構を大切に保存することが国民のビジョンであり共通認識となっている。
巨大な建造物を造る素材として石や煉瓦があり、これらを補強する天然セメントがあり、モルタルはすでに紀元前にローマ人によって利用されていた。 これらが地震のない大陸で大規模な石造り建造物が造られ保存されてきた。 破壊の記録は人為的なものだけである。 100年をかけて造るというのはざらであるから、日本のように過去を簡単に否定し、利用効率とか経済性の考えでスクラップ&ビルドといった刹那的な再開発の思想がないようだ。 【日本の土木技術だって素晴らしい】 土木は自然の中で生きる人間を前提として、自然環境からの外力を軽減することによって、人間の生活や活動を安全、便利、快適にする行いである。 人間がそれぞれの地域、自然とどのように対峙し働きかけ生活様式を適応させてきたかがその国の文化でもある。 風雨や地震・火山噴火など暴威をくり返す予測不可能な局所的な自然環境にある日本では、この人為の及ばない現象にあきらめとか、無情とか、自然を恐れの対象として神とする信仰が定着したものになろう。 一方、ヨーロッパの穏やかな大陸的気候と平坦な地形・地質は、自然を立ち向かう対象ではなく、これを支配する神の存在を定着させたのだろう。
山地が70%も占める日本の可住地面積は今回視察したイギリス、ドイツ、イタリア、フランスのどこよりもずっと少ないのに、さらに大半が河川氾濫原に住んでいながら人口はかなり多い。 これは安全で豊かな国土であるからに他ならないのではないか。 きびしい自然と調和してきた日本の土木技術が優れているかを物語っているのではないか。 ヨーロッパの土木構造物はその歴史と規模の点で驚嘆することは多かった。 それはすべて教会や大聖堂など宗教や複雑な民族を背景にしたものと城壁や軍事的な支配と権力の象徴としての城壁や道路や橋梁ではないか。 その点で日本はこれまで島国という単一民族と鎖国いう閉鎖性から侵略という緊張感など持ったことがなく、軍事目的からの土木構造物はせいぜいお城と堀であり、自然の驚異におびえながら狭い国土に生活するための社会資本整備だった。 ただ、空襲などの戦禍、地震のたびに壊滅的に焦土と化し、作り直す木の文化の日本と違って、ヨーロッパは石造りのまちを、家を大切にしながら、人の目に触れる景観など、まちそのものが公共性を意識し再築保全し使っていることは都市計画規制と個性あるまちづくりに参考となった。 次回は、西欧のちょっと困ったところを。
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