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  薄れ往くことのない痛み  by 真魚

 今日の雨は心地よくて
 ennuiな居心地の自分に酔っていられたけれど

 途中から
 もの憂い気持ちは心地よさから
 不安に変わってしまった。

 きっかけは・・
 無意識にカレのことを思い出していたから。

 でも、それは
 多分、無意識に毎日している作業で・・
 ワタシの日課のようなもの。

 いろんな場面で思い出す。
 こんなとき、なんて言うかな?
 こんなの、好きそうだな・・

 多分・・思い出さない日は
 1日として無いのだと思う。
 意識してはいないから、わからないけれど・・
 きっと、そう。

 それでも、それは機械的に思い出すだけで
 感情のコントロールが出来ていたりするんだと思う。
 切なくなる前に、
 悲しくてたまらなくなる前に
 気持ちを切り替えたり
 違うことに心のスイッチを
 切り替えたりしているのだろう。

 だけど、
 今日はダメだった。
 雨のせいかはわからないけど
 逢いたくて
 今頃、どんな風に過ごしてるの?って知りたくて
 その想いが目から雨となって
 こぼれてしまった。

 そして、
 ぐいぐいと無理やり押し込んだトランクから
 はみ出したワンピースの裾を
 悲しく思った・・・

 時が経てば、と人は云うけれど
 その心の痛みは何年も経った今でも消えていない。

 あれ以来、人を好きになることを止めた。
 人生が半分以上、楽になった。

 でも、
 あれ以来空いてしまった
 心の穴ぼこを埋めることをも止めたからなのか
 それが人を好きになった最後の苦痛だからなのか・・
 今だに思い出さない日はない。一日たりとも。

 せめて、友達になりたかった。
 そうさせてもらえなかった。

 だから諦めがつかないのかな?
 こんなことがあったよ、
 って話せなくなってしまったことが
 悲しいのかな?

 これ好きでしょ?
 なんて、
 伝えられなくなってしまったことが
 悲しいんであって
 もしかしたら、
「今も」どうしても、ひとつだけ
 手にいれられるものがあるとしたら・・と
 心から願うものが「カレ」なのかは・・・
 もう自分でもわからない。
 本当は「今でも」わかっているのに、
 考えないようにしているのかもしれない。

 唄っている姿をまた観たい。
 カレの音に浸りたい。

 でも、足を運んでしまったら
 今カレに寄り添う人に
 きっと出逢ってしまうから・・
 だから、
 唄っている姿は
 これから先もずっと観に行かないんだろうな、って思う。

 どれだけ時を尽くしても・・

 ワタシのこと、
 思い出すときってあるのかな?

 ワタシは毎日、思い出しているよ・・・


Poem by Mao
Art by Jeremy Mann
BGM by Naturally Art Studio "雨のプロローグ~序章~”
Site Arranged by Habane

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

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