PART 5 「黒い馬」
私間違っているかもしれない どこかで 黒い馬は走り去ったと どこかで 確信しようとして 混乱している どこかで意識せぬよう 空を見つめ 思考停止 ただそれだけだ
黒い馬は そこにいた 振り向けないだけだ 耳元にいるのだ 息を殺し 暗闇で目を閉じて 黒い馬は そこにいる
嘶(いなな)くか 暴走しようと地を脚で払うのか 立ちすくみ眠りにつくのか 蹄鉄を砂にかませ 脚を震わせ 黒い馬は 目を閉じているだけだ ただそれだけのことだ
(詩:金澤文利)