PART 4　「水神」

私は仕事が休みの時、震災の痕を見て回ったのですが、死んでしまった生き物を目撃することはありませんでした（と思っていました）。

「みたい」と思っていなかったせいか巡り合うことはありませんでした。

そう思っていたのですが、鹿島区の海岸線に架かる「まじま橋」にあった「松」を見たとき、植物が動物のように見えてきました。植物ももちろん生き物です。その時から、多くの生き物の死に触れていると実感するようになったのです。

特に根がむき出しになっている樹木は「生き物」であることを実感させてくれました。樹木は根を伸ばすために生きている。そうとさえ思えます。 これは龍だ。これは水神だ。神に近い生き物だ。 そう感じました。

（金澤文利）