今回のお題はちょっと前の季節ならピッタリだった陰陰滅滅の「うつ」なのですが、手違いがあって掲載が遅れてしまったものです。
気を取り直し……古い話で20年ぐらい前のことですが、私が42歳、男の大厄年の時でした。
きっかけはもちろん仕事がらみで、社会的にみれば「その地位にふさわしい能力がなかった」の一言で終わりなのですが、当事者にしてみれば部下や上司がもう少し普通の人であればとの思いはありました。
まあ、部下からは有言の、上司からは無言の圧力に負けたというところでしょうか。
4月に異動した時から嫌な感じはしていたのですが、11月頃には起き上がるのがしんどくなりかといって眠るでもなく1日中横になっていました。
その前は内科から抗うつ剤をもらっていましたが、精神科を紹介され1月ほど休みました。出勤拒否症みたいなもので職場に出なくていいとなると精神状態は見る見るよくなりました。
年末にならし運転のため職場にでたところ、もう用無しと判断されたようで圧力は感じなくなり、人事担当者からも来年の4月にはここにいないとそれとなく言われ、来年からはがんばろうと思ったものでした。
ところで「うつ」状態に陥った人に対し言ってはいけない言葉として「がんばれ!」ということが言われます。
これは、全くそのとおりで当人はギリギリのところまでがんばっているのですが、明確な身体症状がないためなまけていると誤解されがちです。
周りからしてみればがんばれといいたいことも十分理解できるのですが。私の場合も親戚総出で言われたものでした。
できましたら、「がんばってるね」とか言っていただけると、当人は非常に安心すると思います。
ここで「がんばれ」に固執すると当人は逃げ場がなくなり最悪の選択「自殺」というところまで行ってしまいます。
原因が仕事であれ、結婚、子育て、介護、病気であれ、何にでも共通すると思います。
私の場合は考えるというか思うというか「自殺」が思い浮かばなかったこともなかったのですが、生来のヘタレのためとてもとてもそこまでの蛮勇には至りませんでした。
ところで、国の資料によれば精神疾患者は380万人とされ、大体30~40人に1人の割合とされます。
私の経験でも100人を超える部署に異動したとき3~4人はちょっとずれているなと思う人がいました。
福祉の業務に従事していた時、精神病院に入院している患者の様子を訪ねる仕事もあったのですが、10日ほど事務所で見かけなかった同僚が、パジャマを着て病院の喫煙室でタバコをふかしているのを見かけ、何してるのと声をかけたこともありました。
(聞くほうも聞くほうですが。)
話を戻しますが、翌年の4月に新しい部署に転勤になり、それなりにがんばっておりました。
しかし、11月頃になると突然また「うつ」状態になりました。別にその箇所で嫌なことがあった訳でないのに何もする気が起きなくなり、自分でも訳がわかりませんでした。
幸いできた上司がすぐに精神科を紹介し、「心因反応」との診断を受けました。要するに前年に受けた心の傷が、同じ季節にまたパックリと口をあけたということでした。全く思いもよらない事態でした。
症状としてはこちらのほうが重症で休んだ期間は1カ月ほどだったのですが、正常(?)にもどるまで3,4カ月かかったと思います。職場に理解があり少しずつ回復していくのに付き合ってくれました。
心に関わる疾患は目に見えないし、本人の苦しみを周りがなかか理解できないため余計に本人が苦しんでしまうと思います。
《配信:2016.8.16》by GOTO
葉羽 そうか、もう20年も前になるのか。また一緒に酒が飲めるようになってホントによかったな。 |