【常緑音楽館便り】#1244〜ノルウェーの木材
Evergreen Music通算1244曲目は、ビートルズの「Norwegian Wood」。
George Harrison(ジョージ・ハリスン, 1943-2001)が、ポップ・ミュージック史における最初の使用例として、Norah Jones(ノラ・ジョーンズ, 1979-)の父・Ravi Shankar(ラヴィ・シャンカル, 1920-2012)の手ほどきを受けて覚えたインドの民族楽器シタール(सितार)を使って演奏したLennon-McCartneyの秀曲である。一般的に「ワールドミュージック」と呼ばれる分野の先駆けの1曲となった。
『ノルウェーの森』という邦題は、この曲を含むアルバム『Rubber Soul(ラバー・ソウル)』(1965)の発売元である東芝音楽工業のビートルズ担当ディレクターが一瞬の「閃(ひらめ)き」で付けてしまったらしいが、もちろん「Wood」であって「Woods」ではないから「森」ではなく「木(材)」のこと。
つまり「ノルウェー産の木材(松の木)製の家具、ウッド調の部屋」というのが、楽曲制作者の一方の雄であるPaul McCartney(ポール・マッカートニー, 1942)説であり、「ジョン・レノン伝説」の著者・Albert Goldman(アルバート・ゴールドマン, 1927-1994)説であり、アメリカ文学者大津栄一郎説の示す模範的回答だ。
他方、「Knowing she would」という言葉の語呂合わせで「Norwegian Wood」になったというのが村上春樹説だというから面白い。もっとも、村上の本のタイトルは正確には『ノルウェイの森』だけどね。
さて、いよいよノーベル賞のシーズン。
今度という今度こそ、村上春樹が文学賞に選ばれますように。
でないと、ノルウェイの森に潜んで二度と出て来ない「狼少年」に本当になっちゃうかもね。
♬ Norwegian Wood/The Beatles
毒舌亭(2019.10.14up) |