【昭和 listen】#248〜舟唄(昭和54年)
昨日中村メイコさんの訃報について触れたばかりなのに、今度はその前日の12月30日に、演歌界の大御所・八代亜紀さんが急性進行性間質性肺炎のため逝去したことが分かった。享年73歳、R.I.P.
代表作はレコ大を獲った「雨の慕情」や「舟唄」など。
特に「舟唄」は演歌史に残る屈指の名曲で、私には想い出の映画の二つの対比的なシーンが今でも鮮やかに蘇ってくる。
降旗康男監督作品の映画『駅 STATION』(昭和56年)。脚本は倉本聰さん。
暮れも押し詰まった12月30日(まさに八代さんの命日となった日)、赤提灯の灯る北海道増毛駅前の小さな居酒屋「桐子」で、警察官の客・英次(高倉健さん)と店主の桐子(倍賞千恵子さん)が見ている棚の上の小さなテレビ。
そこに映される紅白歌合戦で八代さんが唄う「舟唄」の場面が挿入され、「この唄好きなの、わたし」と桐子が咳き、英次にしなだれかかるシーンだ。
そして後半、桐子がかくまっていた連続警察官射殺犯の男を英次が射殺するという展開になるのだが、桐子が店を訪ねた英次に今度は背を向け、素っ気ない態度で再び「舟唄」に涙を流しながら聞き入るというシーンも。
映画は昭和57年、第5回日本アカデミー賞最優秀作品賞を獲得した。曲の作詞は阿久悠さん。流石だ。
「お酒はぬるめの燗がいい」「肴はあぶったイカでいい」というフレーズは、演歌歌詞として白眉の出来栄えだ。浜圭介さんの作曲もまた、素晴らしい。
昭和 listen 通算248曲目。合掌。 ♬ 舟唄 / 八代亜紀
https://www.youtube.com/watch?v=99O9z7s4vto
毒舌亭(2024.1.24up) |