【口語短歌、今どきを問う】
寅さんと言えば、高度成長がピークだった頃の庶民のヒーロー。あの頃はまだ、日本社会に寛容性、受容性、包摂というものがあった。
ところがその後、この国はすっかり変わってしまった。特にここ10年ほどは、新自由主義が幅をきかせ、弱者は切り捨てられ、富める者とそうでない者との格差は拡大するばかり。
国家を私物化し、如何なる悪事も嘘と誤魔化しと隠蔽、破壊で強制的に終結させ、責任という言葉は言うだけで決して誰も取ることのない異様な社会に変質してしまった。
それでも選挙にも行かず現状を追認するだけの人々が広く世を覆うこの現実。。。
『サラダ記念日』(昭和62年)で知られる現代口語短歌の俵万智さんが、寅さん50周年に当たり、こんな一首を寄せていた。
もしも、こ難しいことには責任を取らず、まさに非正規雇用で生産性の低い(笑)寅さんが今のこの世に生きていれば、俵万智さんの重い問いに何と答えるのか、是非とも訊いてみたい気がする。
男はつらいよシリーズ第13作『男はつらいよ 寅次郎恋やつれ』(昭和49年)4Kデジタル修復版は,本日夕18:30〜BSテレ東で放送される。
マドンナは我らがヒロイン吉永小百合。
第9作「男はつらいよ 柴又慕情』(昭和47年)に続いて歌子役(今回は未亡人役)で再登場。舞台は柴又と津和野。
歌子の姑役として名優宮口精二が出演している。
また、他作ではあまり顔を見せないタコ社長(桂梅太郎:太宰久雄演)の妻役として、水木涼子が出ている。
水木は、毎日映画コンクール日本映画大賞に輝く屈指の傑作『砂の器』(昭和49年)や日本映画最高峰の名作『東京物語』(昭和28年)にも出ていた名脇役だ。
なお、蛇足ながら、タコ社長役の太宰久雄は晩年、糖尿病により痩せてきた頃、「これじゃあイカ社長だよ」と自ら冗談にして共演者に話していたそうだ。
🎥 男はつらいよ 寅次郎恋やつれ 予告編
https://www.youtube.com/watch?v=h6k_kfNKvXY
毒舌亭(2022.1.12up) |