【常緑音楽館だより】#1356〜メルセデス・ソーサ
福島県川俣町に「コスキン・エン・ハポン(Cosquín en Japón)」という日本最大のフォルクローレの音楽祭があり(毎年10月に3日間開催)、これまで44回開催されている。自分も何度か聴きに行った。
一昨年は台風19号の影響により中止され(ただし、代替企画「コスキン・エン・ハポンミニコンサート」が11〜12月に開催された)、さらに昨年はコロナ渦で中止された(ただしオンライン型の音楽配信イベント「オンライン・コスキン」が9月に開催された)。
今年もコロナ渦(現在福島県は「まんぼう」指定中)のため、今週9月18日から19日に「オンライン・コスキン」が開催される。
YouTubeの個人ページに動画をアップして応募する方法をとったというから、今どきの試みが導入されており、面白い。成功を祈りたい。
ところで、フォルクローレとは、アンデス山脈を中心とするラテンアメリカ諸国(ベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、アルゼンチン、パラグアイ)の民族音楽、大衆音楽。
日本にフォルクローレを最初に伝えたのは主にアルゼンチンのグループだが今ではむしろ傍系で、ボリビア,ペルー、エクアドル辺りが最も盛んだ。
自分が初めて生で聴いたフォルクローレは、スイスのジュネーブにて、ここに出稼ぎ?に来ていたボリビアのLuz Del Ande (ルス・デル・アンデ) というグループの路上ライブだった。
サイモン&ガーファンクルによりカバーされたペルーの「El Condor Pasa(コンドルは飛んでいく)」が世界的なヒットになりフォルクローレ・ブームとなったことは周知の通り。
そこで、Evergreen Music通算1356曲目は、アルゼンチンのMercedes Sosa(メルセデス・ソーサ, 1935-2009)の「アルフォンシーナと海」 。
ソーサは、同国でのフォルクローレ史上に不朽の名を残した女性歌手。
軍事独裁政権下にあった1970年代後半にフランスやスペインへの亡命を余儀なくされたが、民政復帰後は帰国し、Nueva canción(ヌエバ・カンシオン / 新しい歌)という音楽を通した社会変革運動で大きな役割を果たした。
なお、同じ頃、隣国チリでヌエバ・カンシオン運動の旗手の1人として知られるフォルクローレのシンガー・ソングライターVíctor Jara(ビクトル・ハラ, 1932-1973)は、1973年のクーデターで政権を握った軍部により虐殺されている。
このあたりは、今日のミャンマーやアフガンを想起させる先例であり、いつの世もこの種のことが起きうるものだと知ると怖くなる。
そういえば、最近、中国も芸能界、エンタメ界の引き締めを強化しているそうだが、・・・・・いやいやさすがにこれは関係ないか。
♬ Alfonsina y el mar / Mercedes Sosa
毒舌亭(2021.9.22up)
※背景は世界最南端の都市アルゼンチンのウシュアイアの夜景 |