まだ15年なのか
もう15年なのか
揺れた日から憑かれた様に
カメラを手に走り回った
相馬港に携わった父が
流された港を見たいと言った
一緒に海へと走った
しかし
着いても車から出ようとしなかった
顔を伏せたまま
「…怖い」

朝起きて
晴れ渡った空を見上げて 海へ行こう!
と素直に思った
何度も何度も走り通った道
海が近付いてくるにつれ
街が綺麗になっている
津波で流された後、
3度も揺さぶられた街だ
しかし
街は変わっていっても
海は変わらない

寒さの中にも春を感じる潮風を浴びながら
打ち寄せる波に
15年という時の流れを想う

この地に来る度に寄る古い喫茶店で
「久しぶりですネ」と
優しい笑顔の女将の言葉に
改めて時の流れを感じる
打ち寄せる波音と潮の香りが
熱い珈琲飲みながらも
耳元で囁いている

大和伸一【2026.3.12掲載】
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