いつもの様にヒグラシに起こされ
 いつもの様に部屋を掃除して
 いつもの様に山に向かって車を走らせる

 

 当てはない

 旧道の緑のトンネルをノンビリ走る
 四季を通して走っている道だ
 すれ違う車も無い

 エアコンを切り サンルーフ、窓を開ける
 風の流れる音、鳥の囀り以外何も聞こえない
 身体が森の中に溶け込んでいく様だ

 時折射し込む強い陽射しが痛い位に眩しい
 フッと何気なくラジオのスイッチを入れたら
 …全国津波警報だった

 

 東海沖や東シナ海の地震ばかりに気をとられていたら
 北の国の大地震だ

 緊張感みなぎる新人アナウンサーの声に
 さらに不安がひろがるが
 合間合間にベテランの柔らかい落ち着いた口調に
 ホッとすると同時に状況が見えてくる

 

 ノンビリとした山の中での津波情報
 静と動が入り乱れた不思議な1日となってしまった

 まさに 油断大敵とはこの事だ

大和伸一【2025.7.31掲載】

 Photo by 大和伸一
 MP3 by 甘茶の音楽工房「ブナの森に舞う雪」
 Essay by 大和伸一
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