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第502話「映画「八犬伝」」



by ちぃな ちぃな
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 映画「八犬伝」

ちぃな 映画「八犬伝」を見てきました。

『南総里見八犬伝』で、伏姫と八房の関係性や8人のイケメンたちのチャンバラがメインかなと思いつつ、映画の口コミを読むとどうやら違うらしい。

 

 主人公は作者である滝沢馬琴(役所広司)。
 ファンタジーの『南総里見八犬伝』と、現実の滝沢馬琴の世界が行き来するという。

 んーーー、気になるけど、いまいちだったら、気分よく月曜日を始めることができないかもしれん。

 というわけで、岸波通信で「八犬伝」書いてないかな〜、と思って探してみたらば書いてる書いてるウシシ笑、いやいや、笑っちゃいかん、参考にさせていただく。

 ほうほう、これは、、、、見るわ!

 てなわけで、見てきた感想。

 映画「八犬伝」のあらすじですが、主人公は前述のように作者、滝沢馬琴(演:役所広司)。

 彼が「南総里見八犬伝」を世に出すべく、挿絵を描いてもらうために絵師、葛飾北斎
(演:内野聖陽)にあらすじを話します。

 結局、馬琴が絶対俺の絵にケチつけるから、と北斎は娘婿の重信を推薦しますが。

 この北斎に語るあらすじが、八犬士達の出てくるファンタジー部分となります。

 この馬琴43歳(1814年)から71歳(1842年)まで八犬伝完成までの28年を描いたものがこの映画です。

 

北斎「おもしろい。だがしかし、なんでこんな虚の世界を書くのかね」

馬琴「この世の中は、正しいことをする者が必ずしも報われるというわけではない、時として悪が正義に打ち勝ってしまう世の中だからこそ、虚の世界だけでも善因善果、正義が勝ってほしいのだ」

北斎「よくもまあ、漬物石の上から文鎮いくつも乗っけたみてえな石頭の中からこんな話が出てくるもんだ」

 そんな馬琴は、北斎と歌舞伎を見に行った先で、鶴屋南北と会い「この世は善因悪果、悪因善果なのがいいのでは?」と言われ、悩みに悩みます。

 

 そうして悩みながらも「八犬伝」を書き進めるうち、長年原稿の校正を手伝っていた長男宗伯(演:磯村優斗)が病に倒れ亡くなります。

 妻、お百(演:寺島しのぶ)も馬琴の事を理解できないまま、亡くなります。

 亡くなる時、お百が馬琴の部屋まで這ってきて最期に呟いた言葉が「ちくしょう・・・」だったのが、寂しかったな。

 馬琴は目が見えなくなり、物語を書くことが難しくなります。

 

 そこで亡くなった長男の嫁のお路(演:黒木華)が、私が文字を書きます、と申し出ます。

 無学で平仮名しか書けないお路に漢字を掌に書いて教えながら、遅々として進まない作業にイライラしながらも、お路の「無学なお路を叱ってください。でも諦めないでください」という激励に書き進め、完成を迎えます。

 さて感想。

 役所広司と内野聖陽の掛け合いがとても楽しい。
 作り手同士、父親同士、意見は違えど、仲が良いのが素敵でした。

 長男、宗伯のことを何かと気にかけていた馬琴に対して、妻のお百が「あんたがしつけ殺した!」と怒鳴りつけた時は、とても刺さった。

(私も息子に対して手を出しすぎるのか、夫に「世話しすぎるのがダメなんだ」と怒られた直後だったので)

 お百も自分の思ってた人生と違って、馬琴のことを理解できないままで、寂しかったんじゃなかろうか。

 

 葉羽さんも書かれてましたが、長男宗伯の友人であり、『南総里見八犬伝』の愛読者でもある渡辺華山が、馬琴の元を訪れて「虚を描き続けることで、その虚が実の人生に影響を与えるならば、その虚は実となるように思う」と話します。

 最近はあまり読まないのですが、昔から大好きだった作家の山田詠美さんが佐藤春夫の言葉として「小説とは根も葉もある嘘八百」と紹介していて、それがとても好きなのを思い出しました。

 昔から物語を読むのが好きでしたが、子供の頃は本ばかり読んでて真面目と嫌がらせを受けたこともありましたが、そして今も何で本読むんですかとか本読んで楽しいですかとか言われますが、小説に救われたこと、本から私の世界が広がったことってたくさんあるな、と思うのです。

(配信:2024.11.28 ちぃなちぃな)  To be continued⇒

   

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