私の胸がズキンと痛くなり、でも心が晴れた
2歳4ヶ月のなお君のお話です。 子育てをしていると、思うように行かないことが多かったり、
このままで大丈夫かな?って迷うことがあると思います。 もし、ちぃなさんが迷ったときには、
よかったら今日のメールを思い出して読んでみてくださいね。 きっと、何かを感じてもらえると思います。 私が保育士となって初めての1,2歳児クラスの担任となったときのお話。
1,2歳児クラスなのでトイレトレーニング真っ最中のお子さんが何人もいました。 朝からトイレタイムがスタートし、子どもたちの様子を見ながら、
排泄に誘ったり、「でるー」の声にトイレまで一緒に走ったり。 何度もトイレを往復していました。 2歳4ヶ月のなお君もトイレトレーニング中のひとり。
布パンツになったものの、「嫌!」「行かない」「でない!」の一点張り。
トイレへ行くことを拒むことの方が多く、 「行かない」と言った後に、「ジャー」とお漏らし。 こんなことが何度も何度も続いていました。
どんな促し方にも、首を振るばかり、そっぽむくばかり。
あるとき、私は 「なお君はトイレで出来るでしょう!」
「先生は、なお君がトイレに行ってきますって行くところみたいよ。 一緒に行きたいよ」と、前にしゃがみ、小さななお君の肩に手を置き、
ちょっと強めに言ったことがありました。 私となお君のやり取りを見たある先生が、他の先生方に、
「S先生、すごく怖かったよ。あのやり方じゃ、 なお君も取れるわけがないよ。S先生にはがっかりした」
「おしっこのちびりが多いのも、先生のやり方が悪いんだよ。」 このように言っていることを後から聞き、とても胸が痛くなりました。
悔しいやら切ないやら、涙があふれてきました。
私は、なお君のちからもわかっているし、感じている。 強い言葉は、ずっとなお君を間近で見てきて、
なお君と築いてきた信頼関係があるからこそ。 その時のことだけでなく、今までのなお君と私との
過程があって出てきた言葉。 私は、他の先生方の言葉をきき、
自分の今までの保育を否定されているような気持ちになりました。 すべて否定されたようで混乱し、なお君にどう向き合っていったらよいのかも 正直わからなくなってしまいました。
”どんなに努力しても、なお君がトイレに行きたがらないのは、
私のせいだったのかもしれない。” ”私だから、行きたがらないのかもしれない。” 目の前が真っ暗になってしまいました。
おしっこが出たいときのモジモジしているなお君の姿を見つけても 声をかけることができなくなってしまいました。 「自分は保育士に向いていない・・・」
保育士となって初めて感じる挫折感でした。 なお君をトイレに誘うことも、自分ではダメなんだと感じ、
もう他の先生に任せようか、とも思いはじめていたときのこと。 保育室の床を拭いている私の肩を、ちいさく「とんとん」と
叩く子どもがいました。 振り向くと、なお君でした。
「どうしたの?なお君」と言うと、小さな声で
なお君は「おしっこ。せんせいといっしょ」と。 何が起きたのか一瞬、呆然としてしまいました。
「せんせい、はやく。おそいよ、せんせい」
なお君が自分から「トイレに行こう」と初めて思ってくれたとき、
私を誘ってくれたのです。 肩にのしかかっていた重い重い石が、砕けるようでした! 子育てをしていると、思うように行かないことが多かったり、
まわりの人の言葉や態度に影響を受け、「母親として向いていないわ」と 思ってしまうこともあるかもしれません。 そのたび、胸がズキンと痛くなり、迷い、不安になり、
”本当にこれでいいのだろうか?”と、いままで信じてきた道を歩けないことも 時にはあるかもしれません。 でも、自信をもって!
ちぃなさんとお子さんの間には、 お子さんが産まれた時から築いてきた
”まわりには見えない信頼関係=強い絆”があるのです。 ちぃなさんとお子さんとの信頼関係は、まわりには見えないので
周りから胸に刺さるようなことを言われることがあるかもしれません。 でも、そんな、まわりの声よりも、ちぃなさんの直感、
こころの声を信じてくださいね。 そして、勇気をだして、ちぃなさんの信じる接し方で
お子さんと過ごされてくださいね(^-^) さて、最後に
なお君 のその後のお話です。 なお君の卒園を迎えた日。
肌寒いなかにも少し温かい日差しが輝く園庭でのこと。 なお君は、お母さんと照れながら、私を呼んでくれました。
「先生。この子、先生が大好きだったんだって。一生懸命作ったんですよ。」と、
青い画用紙に描いた絵を持ってきてくれました。 あの鮮やかな青の画用紙には、なお君のニッコリわらったお顔の絵。
「またね。せんせい。だいすきだよ」のかわいい文字。 私は今でもときどき、なお君のことを思い出します。
なお君は、私のこと覚えていてくれてるかな。 お読みいただきありがとうございました。 |