辞書って怖い…。
「岸波通信」の方に書いた話ですが、息子の結婚式の挨拶で“我が家の秘伝”夫婦円満の秘訣を披露したのでございます。
いわく、「女は愛嬌! 男は………………もっと愛嬌!!」
いや、これがバカ受けでして、後日、嫁さんからは『仲間うちで流行語になっている』という報告までもらう始末。
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夫婦円満の秘訣!
(我が家の秘伝) |
考えてみると、僕は昔から“非の打ち所のない美女”よりも“どこか愛嬌のある女性”の方がタイプであったことに気付いたのです。
で、こうした嗜好がいつから我が物になったのかをツラツラ考えてみるに、子供の頃に大好きだったオードリー・ヘプバーンがルーツに違いありません。
記憶の限りで、「ファニーフェイス」という褒め言葉は、彼女が主演した「ローマの休日」あたりから使われだしたと思います。
「ローマの休日」と言えば、オードリー・ヘプバーンが1953年のアカデミー主演女優賞を受賞し、ほかにも最優秀脚本賞や最優秀衣裳デザイン賞も獲得した名作。
王女と新聞記者との切ない一日だけの恋を描いた忘れえぬ作品でございます。
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ローマの休日 |
「ローマの休日」のヘプバーンは気品ある王女様の役でありますけれど、口や耳がやや大き目であるために、端整な美女と言うよりはお転婆なお嬢ちゃんという方がピッタリ。
しかし「ファニーフェイス」…直訳だと“ヘンな顔”。 うむぅ…。
ということで、「ファニーフェイス」をネット辞書で確認しようととしたことから、雲行きが怪しくなって行ったのでありまする…。
僕と同じように、“ファニーフェイス”を『新明解国語辞典』で引いたらしい人がネットに書き込んでおりました。
◆ファニーフェース〔funny face〕個性的で、魅力の有る顔。〔常識的な意味での美人ではないが、かえって愛嬌の有る顔を指す〕(第5版)
いくらフォローしても不美人ってことでしょ…。 |
大笑い!
ついでに、こんな言葉も調べたらしい…。
◆でばな【出花】たてたばかりで香味のよい茶。「鬼も十八、番茶も―〔=醜い娘でも、年ごろになると一応美しく見えるものだ〕」(第5版)
一応。 |
またまた大笑い!
この人、「容貌が整っていない人」に関する言葉を調べていたようで…。
◆みにくい[二]【醜い】(一)容貌(ボウ)が整っていないため、相手に不快感を与える様子だ。〔内なるものがそれを補って余りある場合には問題にされない〕(第4版・第5版)
「内なるものがそれを補って余りある場合には問題にされない」って、誰に対してフォローしてるんでしょうか。
なお、第3版以前は次のように書かれていました。
◆みにくい[二]【醜い】(一)肉体的欠陥がひどくて、相手に不快感を与える様子だ。〔内なるものがそれを補って余りある場合には問題にされない〕(初版~第3版)
うわ…、こりゃまずいよ…。 |
腹を抱えて大笑い!
ついでにこんなことも…。
◆にんさんばけしち【人三化七】〔三割は人間で、七割が化け物の意〕人間とは思えないほど、ひどく醜い人の称。(第4版・第5版)
こんな言葉、初めて見ましたが、三割が人間で七割が化け物って、化け物の割合のほうが高いじゃないですか。 |
転げまわって大笑い!
これも念のため(何のため?)、第3版以前を確認してみましょう。
◆にんさんばけしち【人三化七】〔三割は人間で、七割が化け物の意〕人間とは思えないほど、ひどく醜い女の人。〔広義では、男をも指す〕(初版~第3版)
新明解国語辞典の語釈に関しては、過去を蒸し返さないほうが身のためのようです。 |
この辺まで来ますと思わず笑いが凍りつく…。
こりゃ、改訂されるワケだわ。
ま、それだけ「人権」に配慮する世の中に進化したという事でしょうか。
《配信:2010.9.4》
葉羽 ~ということなんだよ、ケイコ。面白いでしょ?
つまり、アナタが選んだ私は“ファニーフェイス”ってこと?
ええー!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい! |