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 その1 新しい直江兼次
「モーニングコーヒー」Benchi time

 日曜日、NHKの「天地人」を初めて見ておりました。

 うーん、そうか、こういう解釈なのか…妻夫木君の直江兼続。

 泣き虫だけど一生懸命で、他人の心を思い遣る。

 武士道や武士社会といった固定観念をひっくり返す斬新な解釈ではなかろうか。

 「泣き虫」ははまり役ですね…“感染列島”の泣き顔、素敵だったもの。

 でも、中国の三国時代だと、こういう人は生き残れなかったでしょう。

 “策士”だらけの戦乱の世…他人を信じちゃ負けですもの。

 だけど、いいなぁ。

 嘘つき・策士ばかりの世の中だからこそ、こういう兼続。

 思わず、守ってあげたくなっちゃいます。

 だけど、きっといると思います…「歴史上の兼続はこんな人物ではなかった!」と目くじらを立てる人たちが。

 でも、いいんです、これで。

 どうせ、歴史上の人物が、実だ際どんなだったかなんて、知ろうとしても限界があります。

 たいていの歴史書は、勝った人物に都合のいいようにしか書かれていないんですから。

 「大河ドラマ」の役割は、歴史を再現することではなく、歴史上のドラマ作りをとおして、現在の日本人に、どれだけメッセージを発信できるかだと思うのです。

 彼は“仁愛の人”と言われているけど、もちろんそれもある。

 でも、本能寺の変あたりの彼は、もう少し手前の境地でしょう。

 それは、人としての誠や思い遣りということのような気がする。

 心の絆が軽んじられ、助け合いの心が軽んじられ、自分だけセコく立身しようなんて風潮の現代。

 ある意味で、下克上の戦国時代と同じかもしれない。

 そういう中で、誠や思い遣りを重んずる生き方…いいじゃありませんか。

 武家社会の規範やものの考え方に捉われず、現代風の普通の好青年として描かれた直江兼続。

 それを見事に演じている妻夫木君、そして誰だか分かりませんが人物像を創った脚本家、あっぱれです。

 《配信:2009.5.12》

葉羽葉羽 歴史研究が進んだ結果、昔、教科書に載っていた人物画像が別人であったというのは最近よく聞く話ですからね。ましてフィクションなら、どんどん新解釈歓迎!

 

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