フランスでは発泡性ワイン(スパークリングワイン)を一般にシャンパンと呼ぶ(厳密にはシャンパーニュ地方で生産されたものに限定されている)が、イタリアではスプマンテと呼ばれる。
そのスプマンテの中でも北イタリア・ロンバルディア州東部のフランチャコルタ地域で生産されるスプマンテを「フランチャコルタ」と総称しており、その質の高さは定評になっている。
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ヴィットリオ・モレッティ=フランチャコルタ協会会長
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そのパーティで、どんなスパークリングワインが供されるかということは、そのパーティの「格」を決めるとまで言われている。
例えば、ラグジュアリー・ブランドを多数抱えているLVMH(モエ ヘネシー ルイ・ヴィトン)のブランドである「セリーヌ」がパーティを開催するときに供されるスパークリングワインは当然のことながら「モエ エシャンドン」とか「ヴーヴ クリコ」といったLVMHが保有するシャンパンだ。
LVMHのブランドのパーティでも大使館での開催など最上級の格式のパーティとかになると「ドン ペリニヨン」とか「クリュッグ」といったLVMHが所有するシャンパンでも最高級のものが供されるのである。
酒にイヤしい私はこういうパーティには万難を排して出席したいと思っている。本文とは全く関係ないが、個人的には「クリュッグ」が一番好きだ。
フランチャコルタも、イタリア国内では当たり前になっているが、国外でのイタリア政府及び関連機関主催のパーティはもちろん、イタリアブランドの格式が高いパーティでは是非供してもらいたいし、それが今後の需要拡大につながるということで、そうしたプロモーションを強化している。
そんな時、最近フランチャコルタ協会のヴィットリオ・モレッティ会長が11月に来日し、フランチャコルタの普及のための試飲会やイタリア大使館でのパーティを開催した。今年は日伊国交開始150周年に当たるのである。
モレッティ会長は1年前に就任したばかりで、フランチャコルタ「ベラヴィスタ」(イタリア語で美しい風景の意味)のオーナーでもある。同会長にいくつか質問したので紹介する。
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ヴィットリオ・モレッティ=フランチャコルタ協会会長
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・フランスのシャンパンは「ドン ペリニオン」や「クリスタル」などのトップブランドを作って、ピラッミッド状にヒエラルキーを作るマーケティングをして成功したが、フランチャコルタでもそういうマーケティングをしたらいいのではないか?という私の問いには:
「そういうやり方もあるが、我々の場合はフランチャコルタという地域がすでに抜きんでたプレステージを持っている地域であって、そこにある116のワイナリーがほぼ同レベルという素晴らしいパフォーマンスを誇っているのでフランチャコルタを前面に出している」。
・フランチャコルタのシャンパンに対する強みは何ですか?
「まず、われわれは、価格帯としては、シャンパンの中価格帯に殆ど位置している(日本では4000円から8000円)。つまり価格的な競争力がある。またシャンパンと同じくシャルドネ種が中心だが、ブラインドテストをすると、殆どいつも互角以上でフランチャコルタが勝っている(笑)」。
・スプマンテの最高峰としては、「フェラーリ」がフランチャコルタの前に立ちはだかっているのでは?
「たしかに『フェラーリ』は良いスプマンテだが、ちょっとグラスを長く持っていると両者の違いが分かる。『フランチャコルタ』は、ぬるくなっても旨さが変わらないのだ。これは我々の強みと言えるだろう。今度是非試して見てください」。
ほう、そんな強みがあったのか。しかし、試してくれと言われても、私の場合シャンパン・グラスが温まるまで、中身を飲まないでおいたことなど一度もないのでこれはわからないままだろうな(笑)。
それとモレッティ会長は語らなかったが、同会長のワイナリーの生産した「ベラヴィスタ」は、116あるフランチャコルタの最高峰であるように思った。116種類全部試飲したわけではないけれども(笑)。
(2017.1.8「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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