「windblue」 by MIDIBOX


いよいよ春本番だ。今年の春におさえておきたいメンズファッションのキーワードをいくつかあげて、男性読者の皆さんを流行遅れから救出したいと思う。

 まず、ファッション雑誌などで頻繁に使われているノームコアという言葉。これは“normal”と“hardcore”による造語。「究極の普通」「普通の中の普通」という意味。

 「じゃあ、『ユニクロ』や『無印良品』でコーディネイトまとめてみればいいのか」と短絡的に考えてしまいがちだが、もちろんそうではない。それはいわゆる低所得者層の低価格シンプルスタイリングであって、ファッション雑誌でいうところの「ノームコア」ではない。

Courtesy of Neil Barrett

 正確に言うならば、「一見なんでもなさそうなファッションなんだが、よく見てみるとハイファッション・ブランドだし、それをさりげなく着こなしているのが実にオシャレ」ということなのである。

 この「よく見てみると」というところにポイントがある。「プラダ」のメンズウェアを評した言葉に「ノームコア」という言葉が最初に使われたと言われているがその代表的なルックをあげておく。

 ステッチが入っている以外に特別なことのないし、パンツのセータープリーツも「ダサさ」と紙一重である。ラバーソールが変わっているぐらいでローファーも普通のローファーだが、「ノームコア」と言われれば、「ほう」と思ってしまう。

    

 もうひとつのキーワードは「ノージェンダー」。「アンドロジナス」(両性具有)とかベタな日本語で言えば「フェミ男」とか、男の女性化はメンズファッションの一大テーマだ。

 「ノージェンダー」という言葉はさらに一歩踏み込んで、もうウィメンズウェアとメンズウェアの垣根は完全になくなりましたの意味である。

 この代表的なブランドということになると「サンローラン」ということになるが、今春夏向けのボヘミアンテーストのパンツルックをあげたが、ウィメンズモデルでもこんなに細い足のモデルはいないと思えるぐらいの「ノージェンダー」ぶりで、とても一般的な方々におすすめできそうもない。

Courtesy of PRADA

 なかなか難しいキーワードを2つあげたが読者にもとりいれやすい今春の難易度の低いキーワードをあげておこう。

 まず「90’sスタイル」。1990年代に流行したトレンドが復活している。

 これはすでに2年ほど継続しているトレンドだが一過性ではなく今後も継続しそうだ。まず白、グレー、ブラックなどの一色によるワントーンコーディネイトがその代表的な90’sスタイルだ。

 さらにミニマリズム。シンプルでクリーンなコーディネイトが90’sスタイルの特徴だ。トップスはビッグサイズでリラックス感を強調するのが90年代風。

 もちろん足元はスニーカーでスポーツテイストを貫く。しばらく表舞台から消えていたデニムもこうした90’sスタイルでは重要なアイテム。市場ではすでに復活している。ただし、ワンウォッシュくらいのクリーンなデニムが主力だろう。

    

 この他、スポーツテイストが90’sスタイルの大きな要素で、メンズウェアでもスポーティーなタンクトップ、ビッグなTシャツ、ニーレングスのバスケットのボールショーツなどはマストアイテムと言えそうだ。

 そして日本人男性には狐につままれたような話だが、ヨーロッパのハイファッション・ブランドでは「ジャポニズム」のモチーフがプリントを始めとして大きく浮上していることを付け加えておく。

 以上のキーワードを頭に入れて、オシャレに決めて春の日差しの中を軽快に歩いてほしい。

                

(2015.4.9「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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