「見上げれば キリがなく・・・日ご夜毎の繰りっ返し〜 ともすればまーたーひーとりー♪ 男たちの   されど満天のスター☆」

 ラストの歌を、観れば観るほど口ずさみたくなる、主演、戸田恵子・市村正親・浅野和之三人が送る、笑い楽しくホロ苦く、甘美なまでの極上の三人舞台。

 それが三谷幸喜作品「You Are The Top 今宵の君」なんですねえ♪

 この作品は舞台を生では観れなかったのですが、DVDをレンタル?したのかな?よく覚えてないのですが、どうやってか観て、何が何でも欲しくなり、購入して飽きずにちょくちょく観ては又ホロ酔わされるすってきな作品*

 物語は三谷幸喜と言えばのシチュエーションコメディスタイルで、基本の深夜の音楽スタジオから始まります。

 やって来た二人の男、市村正親演じる作詞家と、浅野和之さん(さんは絶対付けたい)演じる作曲家。

 二人が作ろうとするのは、亡くなった女、歌手の笹目錦の追悼コンサートで流れる新曲。

 二人は他愛もないおしゃべりから、女の話を思い出して行くのです。

 この場面の切り替え手法や、転換技法などは、舞台自体には詳しくないので既に技術としてあるものか分からないのですが、ものすごい組み換えの旨さが際立ちます。

 組み立て、と言った方が正しいのかも。

 ものすごい数のシーンと会話、クロスする会話と人物関係、前半はほぼその見せ場の妙で驚かされます。

 しかしそこに会話のウィット、面白さや個性のおかしさ、ユーモアと笑っちゃう設定を組み込むのが流石に三谷幸喜。

 何回も見てると、最初の市村さん演じる作曲家の「パセリいただきま〜す」がツボに入る(^@^)

 面白いんですねえ〜かーなり!!

 余りの会話と設定の妙に、説明じゃ絶対面白さは伝わらないので、できたら観ていただきたい一本です。

 そして、徐々に明らかになって行く笹目錦のその歌手の半生と男二人の関係から、各々が背負う悲哀。

 そして一人になったのは・・・

 そこへ・・・ああ、もう言えない。言ったら怒られる(まだ観てない人に)。

 そして三谷幸喜らしいオチが又抜群のテイストで笑いを取った後、夢か現か、三人のショーの短い幕が開くのです。

 そこで歌われるのが、井上陽水作曲の原題曲 You Are The Top☆

 その抜群の歌唱力で魅せる聴かせるミュージカル俳優でもある戸田恵子と市村正親に、役で聴かせてしまう浅野さんの魅力o(^o^)o

 最後のステージは実にすんばらしいですよv(^0^)v

 実はこの舞台、当初作曲家役は鹿賀丈史さんで、名俳優であり親友の市村正親と鹿賀丈史の二人に、女役の戸田恵子さんの組み合わせで出来上がったのです。

 が、鹿賀丈史さんダウンのため(体調不良?)急きょ浅野さんに役が回って来たので、当て書き(役者さんを想定して脚本を書くことです)の三谷幸喜のシナリオと演出がガラッと変えなくてはいけない。

 公演初日までわずかの中での浅野さんの猛稽古と莫大なセリフ量にシーンの組み合わせの複雑さから、かなりのパニックになりそうな大変な初日を迎えてからのこのお三人の演技と演出、舞台だったらしく、観てる方は全然そんなの感じない作りでしたが、かなりいっぱいいっぱいだったらしいです(@o@)

 いや、でも鹿賀丈史も良いけど、やはりこの三人で観ちゃうと、浅野さんカッコ良すぎ!!

 一時期コアなファンと化すほどの色気なんです。

 でも老眼鏡でカンペを読んでたと言う解説エピソードがお歳を感じましたが、そこも可愛らしいのと、舞台上であのベテランさんがカンペって・・・舞台袖の凄まじさが想像されます。

 それでも仕上がりは本当に拍手喝さい!!

 ブラヴォーとしか言いようのない素晴らしい舞台で、ラストのカーテンコールなど、DVDで画面で観ている立場にも関わらず、惜しみない拍手をこっちまで送りたくなる、エンドレスなカーテンコールがこれまた嬉しい♪

 劇中で作曲家が作る「You Are The Top」の作り方も、井上陽水の作る過程をそのまま持ってきたそうで、リアルで自然と入って来る、それでいて要所要所でいい仕事してくれる名曲。

 歌詞がむちゃんこですけど、もう観終わるとそこが又イイ!!

 お気に入りの歌詞は「唇はト・マ・ト♪勝気なお嬢〜さん!」と言う、普通じゃ考えられない歌詞が余計いいんです!(川平慈英風)

 実際に舞台ナレーションは川平慈英がやってます(オープニングとエンディングだけ)。

 三谷幸喜は、こうやって知り合ってまた更にもっとと思いたくなる役を書くので、浅野さんもこの舞台の後から、三谷幸喜舞台常連になります。

 夢の遊眠社出身でスターだったとか、パントマイムが得意とか、役者さんとしてのキャリアを知らなくても夢中になっちゃう、浅野さんの役であり演技であり、それは戸田恵子も市村正親も同じくすさまじいスキルが合ってこそ成り立つのに、それを自然に見せて感じさせないああ言う役者さんや舞台は、やはり見応えありますね。

 これを観ると、しばし何も考えずただただ素晴らしい!!と心で拍手しながら、その舞台の感動がドワア~っと押し寄せて包まれるのです。

 感動・・・笑い、であり面白さ、であり歌のステージの迫力?意味合い?と全部渾然一体となって盛り上がり心に感動をもたらす、傑作中の傑作です。

 三谷幸喜ファンでも、好きな舞台の5本の指には確実に入ってます。

 トップだけはもう不動なんですが、全身の劇団東京サンシャインボーイズの最終公演、休眠公演「罠」。

 これは桟敷席で観たのもあって、どうにもトップなんですが、それに劣らない素晴らしさがこの「You Are The Top」とも言えます。

 夏の夜の夢、怪談チックな設定は、今私が書いてる「この歌〜」にも通じてますが、夢一夜におススメです♪

 最上の舞台「You Are The Top」是非ラストを歌ってみたくなって下さい。(鼻歌で歌います私♪)

  Written by Akio (2011.7.20up)

「夏の別れ」 Fra's Forum♪

 

 

 

 

 

UP ▲

banner Copyright(C) Akio&Habane. All Rights Reserved.