その98
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  官能の寺院~カジュラホ~ (詩:葉羽)

 日本に帰れるのだろうかとさえ思ったのに
 きっと来週の今頃は 懐かしい故郷への帰路

 今はただ カジュラホのエロチックな寺院に
 思いっきり 煩悩を揺さぶられていよう

 壁を埋め尽くす男女交合像(ミトゥナ)のレリーフ
 尖塔(シカラ)は男性のシンボルを表すとか…

 一千年前にシャンデラ王朝が建てた都は
 ヴィシュヌ シヴァ パールバティ…
 神話(ヴェーダ)の神々と
 愛欲(カーマ)の真実に象られていた

 暗闇に屹立する女神(デヴィ)には
 頭、胴体、足、それぞれに違う神が宿っている

 深い闇の中 妖しげに光る蝋燭の
 なんと官能的なことか…

 焦げる太陽の下の彫刻より
 屋内の陰影が心を惑わせる

 この国では どこへ行っても
 闇の中に何かを感じさせるものがある

 鎮座するイノシシは
 ヴィシュヌ神の化身(アヴァターラ)の一つ…

「現実世界はヴィシュヌの夢に過ぎない」

 ジョッキを満たすと
 ヴェーダの一節が脳裏をよぎった

Poem by 葉羽
 MP3 by 音楽の卵 “眼前に広がるもの”
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   Photo by 大和伸一"カジュラホ”より

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