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「Challenger」(佑樹のMusic-Room)
by 岸波(葉羽)【配信2009.8.9
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 人類よ、覚悟しろ!

 13体のトランスフォーマーが活躍した前作を大幅に上回り、60体もの機体がスクリーン狭しと暴れまくる「トランスフォーマー/リベンジ」。

 僕は勤務日の関係で初日に映画館に行くことができず、公開第二週となる6月27日に観に行ったのですが、何と映画館前には長蛇の列!

 “アレアレ、こんなに人気があったのか”と驚きましたら、何か様子が変・・?

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ケイコ、凄い人気だねぇ・・トランスフォーマー。

でも、親子連れとかじゃなく、皆んな若い人よ。

トランスフォーマーの開始までにはまだ時間があるね・・。

あらー!トランスフォーマーは、この番号のフォーラムじゃないって!

ええーっ!!

 そうです。

 実はこの大行列は、今日が初日となる「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」に押しかけた人たち。

 でもまぁ、せっかく「トランスフォーマー」を観るためにわざわざ会津からやって来たのですから、ここは初志貫徹ということで、僕たちはお目当ての劇場へと。

 さて、その顛末は、どうなりますことやら・・?

 

 このcinemaアラカルトでも採り上げた前作「トランスフォーマー」は、2年前に世界的大ヒットを記録した作品。

 1980年代にブームとなった玩具・アニメーション・コミックシリーズ「トランスフォーマー」の実写版で、地球の破壊を目論む悪の金属生命体(トランスフォーマー)組織“ディセプティコン”と、これを人類に味方して阻止しようとする正義のトランスフォーマー“オートボット”たちの闘いを描いたものでした。

 車両の姿から一瞬にしてロボットへと変形(トランスフォーム)する驚くべきCG技術が話題を呼びました。

 最大2万個の部品が動くというこのCGは日本人CGアーティストの山口圭二が担当。

 もちろん、キャラクター自体もタカラトミーの玩具から発展した日本発の逆輸入品。

 この映画の成功によって、「トランスフォーマー」は今回の「リベンジ」を含む三部作として製作されるとことが決定したのです。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 トランスフォーマーたちの力の源は“オールスパーク”と呼ばれるキューブに閉じ込められたエネルギー。

 そのエネルギーを浴びた精密機器には命が宿り、ロボットへと変身するのです。

 前作のラストでは、悪のディセプティコンの首魁であるメガトロンが、主人公の少年サム(シャイア・ラブーフ)の機転によって胸にオールスパークを押し込まれて、その過剰なエネルギーによって倒されます。

 そして、オールスパーク自体も破損し、その欠片が残るのみとなります。

 今回の「リベンジ」は、そこからの後日談。

 正義のトランスフォーマーたちは、その総帥オプティマス・プライムの下、ディセプティコンの残党を討伐するために組織されたNEST軍と協力して世界中を転戦しています。

 ところが、そんな残党の1体が、死に際に“ザ・フォールン様が蘇る”と告げたのです。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 ザ・フォールンというのは、一番最初に誕生した古代トランスフォーマー7体の中の1体で、悪のディセプティコン軍団の創始者。

 一番力の強かった彼に対抗するために他の6体は協力して自らの身を犠牲に封印し、ディセプティコンの野望をくじくための別の軍団を生み出したのです。

 一方、前作のヒーローであるサムは、大学へ進むために荷造りをしていると、オールスパークの欠片に触れてしまい、突然、頭の中に見たこともない文字が浮かぶようになります。

 異常な能力を持つようになったサムは、新たに全宇宙から集結してきたディセプティコンたちのターゲットになり、遂には欠片を奪われることに。

 その欠片によって、死んだはずの悪の首魁メガトロンが蘇り、やがて今回の黒幕、封印から目覚めたザ・フォールンと共闘して人類を襲い始めるのでした。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 実は、監督のマイケル・ベイ、最初にこの映画の演出を依頼された当初は、“玩具が原作の作品なんか”ということで乗り気ではなかったそうです。

 しかし、放映されたアニメーションを見るうちに興味を示し、最後には、自分自身も端役のエキストラとして登場するほどにのめり込んで行ったのです。

 (終盤でメガトロンに指一本で弾き飛ばされた男性が彼。)

 そういう監督の思い入れや、スタッフが楽しみながら映画を作っている雰囲気がビシビシ伝わってきます。

 特に今回の「リベンジ」では、登場するトランスフォーマーの数が圧倒的に増えただけではなく、セクシー美女型や衛星型、小動物タイプの敵役や、いつも喧嘩ばかりしている双子のオートボット(正義軍)など、個性的な機体が数多く登場して楽しませてくれます。

 セクシー美女型トランスフォーマーを演じたイザベル・ルーカスに対し、監督のマイケル・ベイはモニターを覗きながら、「イザベル!もっとセクシーになれ!もっとセクシーにっ!」と叱咤激励。

 (あらららら・・)

 役柄とは違って、実はとってもおとなしいイザベルは、監督の激しい演出に困惑も。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 また、主演のシャイア・ラブーフは、この間「インディー・ジョーンズ」の息子役に抜擢されたこともあり、いよいよ演義に磨きがかかっています。

 恋人役のミーガン・フォックスは、更にお色気が増し、あちこちのシーンで悩殺ポーズのサービス・ショットも。

 (ふっふっふ・・)

 でも、このミーガン・フォックス、前作に出演した後の雑誌のインタビューで「あの映画は演技で勝負する映画でない、これは皆さん百も承知よね。」と発言し、監督のマイケル・ベイを怒らせていたのです。

 確かに数万パーツが一瞬にしてトランスフォームするシーンや、「スクリーンで何が起こっているのか分からない」というクレームが出るほど猛烈なスピードの戦闘シーンなど、ストーリーよりも特殊効果やカメラワークの斬新さが話題になった前作ではあったのですが・・。

 まあ結局は、マイケル・ベイの方で「いえ、全然気にしていませんよ。それがミーガン・フォックスという女優ですから。」と、“大人の対応”をして続投が決まったのでした。

ミーガン・フォックス

ミーガン・フォックス

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

ケイコ、どうだった?

うーん・・・・浅い!!

戦闘シーンは、多少見やすくなったけどね。

でもって、長い!!

2時間半・・・確かに僕もちょっと、途中で寝ちゃった。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 前作の2倍となる3億ドルの制作費を投じ、上海、ロンドン、太平洋上、ヨルダン、エジプトなど世界各地を舞台に壮大なスケールで展開する今回の「リベンジ」、興行的にはどうであったのか?

 アメリカでの興行収入は前作の最終興行収入の約半分にあたる2億ドルを5日間で稼ぎ出すという好スタートを切ったものの、公開三週目でゲイ映画の怪作「ブルーノ」に首位を明け渡し。

 日本では、今年最高のヒット作となった「ROOKIES -卒業-」の快進撃に押されて、公開第一週で首位を取れなかったばかりか、前作の興行収入にも及ばないという不本意な結果に。

 さらに、二週目には、冒頭で述べた「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」がいきなり首位に躍り出て、「ROOKIES」が二位となったことから早くも三位転落。

 うむむむむ・・・。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 強力なライバルとかち合ったと言えばそれまでですが、どうもそれだけではない気がします。

 一作目を見たとき、確かに僕はその映像技術に驚きました。

 そもそも、過去に何度か映画化の話が持ち上がりながら、映像化は不可能ということで棚上げになっていた企画です。

 それを実写でこうも鮮やかにやってくれたのですから、まさに驚嘆に値すると感じたのです。

 でも、ストーリーや演技に感動したわけではありませんでした。

 突き詰めて言えば、「絶対の正義がいる。絶対の悪がいる。最初は正義側の分が悪かったけども、結局、正義は勝つ!」という筋立てなのですから。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 多くのアメリカン・コミックも同じストーリー構成だと感じますが、本来、“一方的で完璧な正義”というものは存在しないのでは無いでしょうか。

 更に言えば、テクニックに寄りかかった作品というのは、あっという間に陳腐化して忘れ去られるのではないでしょうか。

 それに引き換え、「ROOKIES」は多くの日本の若者のハートを掴みました。

 また、人間の原罪を追及する「ヱヴァンゲリヲン」の内省的・哲学的ストーリーは、非常に難解なものでありながら、既に時代を超えて若者達の伝説となって支持されています。

 いずれの映画も、「絶対の正義」が「絶対の悪」を倒すようなシンプルなストーリーではありません。

 この日米3作品を比較して、思うところがいろいろありました。

トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ

(C) 2008 DreamWorks LLC and
Paramount Pictures. All Rights Reserved.

 もしかすると、この両者の違いは、日本のコミックやアニメーションの成熟度、その質の高さに由来しているのかもしれません。

 米国のコミックやアニメーションは“子供向け”のものしか存在していませんが、日本ではそうではありません。

 この数十年の間に、十分に大人の観賞に耐える・・・いや、最初から大人向けに創られた質の高いコンテンツも生産されるようになり、成長して来ているからです。

 この後、トランスフォーマーの三作目も既に制作が決定されていますが、できればより“心に響く”作品となって登場することを願ってやみません。

 

/// end of the “cinemaアラカルト95「トランスフォーマー/リベンジ」”///

 

(追伸)

岸波

 この一つ前に見た「T4」は、その前作「T3」に比べれば遥かに優れた作品だと思っていましたが、興行的にはあまり成功しなかったようです。

 もちろんこれも「ROOKIES」に喰われたということもありますが、やはりシュワルツネッガーが主人公から降りたことが大きいと思います。

 でも、驚きましたよ、実際に「T4」を見た時。

 まさか、シュワルツネッガー本人がターミネーター役で登場するとは思いませんでしたもの。

 と言うか、役の後継者であるローランド・キッキンガーの顔だけ若い時のシュワちゃんのCGに差し替えるなんて・・・そんな掟破りの技が炸裂するなんて思いませんでしたもの。

 キッキンガーが気の毒すぎて、観た後でcinemaアラカルトに書くことさえ憚られましたもの。

 (いや、それは単に“遅筆”の言い訳だから)↑

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again ! 

悩殺美女トランスフォーマー

悩殺美女トランスフォーマー

(イザベル・ルーカス)

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト96” coming soon!

 

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