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「AUTUMN」(Music Material)
by 岸波(葉羽)【配信2019.5.19】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 あの日父を失くした少年の、喪失と再生のものがたり

 これは9.11を題材に、子役のトーマス・ホーンが並みいる名優たちを喰いまくったと評判だった「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011年) のキャッチコピー。

 今回はしばらくぶりに カリスマ彰による「十連休TV映画三昧12本を採点する」の登場。

 葉羽による新編集により、前・後編2回でお贈りします。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い (2011年)

(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

十連休したが、外出は3日だけ(それも短時間)でほぼキャンプ状態。

 映画とドキュメンタリーをメインに(TV録画がほとんど)1日10時間はTVにかじりついていた。他には十連休中に5日も開催があった競馬観戦ということになる。

 こんな期間に帰省や旅行するのは馬鹿げているとは思いつつも、情けないというか、映画12本を採点して、言い訳にしておく。

 以下採点はS(大推薦)、A(推薦)、B(まずまず)、C(普通)、D(駄作時間の無駄)。

 

◆1「最強のふたり」(2011年) S

 さぁ、人生に繰り出そう。

 身障者の大富豪と前科のある黒人介護士の交流をパリを舞台にユーモラス&スタイリッシュに描く。

 昨今のイエローベスト運動なんか見ているとこんなことあるわけないだろうと思うが実話に基づいているらしい。

最強のふたり (2011年)

(C)2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP

 2人の脚本家が共同監督しているが、映画は原作と脚本次第ということを改めて感じた。

◆映画.comの解説から引用

 パラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞した。


◆2「ボニー&クライド 俺たちに明日はない」(1967年) A

 明日なき2人の青春を描いて
 史上に輝く愛の名作!

 3度目の視聴である。アメリカ映画史に燦然と輝く名作だ。やはり見るたびに発見がある。

 クライド役は最初ボブ・ディランを予定していたとか、ボニー役にはナタリー・ウッド、シャーリー・マクレーン、ジェーン・フォンダなどが候補だったとか、監督はトリュフォーを予定していたとか裏話も面白い。

ボニー&クライド 俺たちに明日はない (1967年)

 確かにボニー役のフェイ・ダナウェイはセクシーでゴージャス過ぎるのだが、それはそれでもう歴史になってしまった。

◆allcinema ONLINEの解説から引用

 不況時代のアメリカ30年代に実在した男女二人組の強盗、ボニーとクライドの凄絶な生きざまを描いた、アメリカン・ニューシネマの先駆け的作品。ケチな自動車泥棒だったクライドは、気の強いウェイトレスの娘ボニーと運命的に出会い、コンビを組んで強盗をやりはじめる。二人は順調に犯行を重ねていくが……。アカデミー二部門を受賞(助演女優賞エステル・パーソンズと撮影賞)した。


◆3「ベニスに死す」(1971年) A

 美は滅びない。

 言わずと知れた巨匠ルキノ・ヴィスコンティが手掛けた中で一番有名な作品。2月にヴェニスに行ったので、NHK BSで放映していたのを再視聴。

 主人公と美少年タジオ一家が宿泊しているホテルがあるのはリド島で、これにヴェニス本島が登場している。

ベニスに死す (1971年)

(C) 1971 Alfa Cinematografica S.r.l. Renewed 1999 Warner Bros., a division
of Time Warner Entertainment Company, L.P. All Rights Reserved.

 過去と現在、リドとヴェニス本島が交錯する複雑な構図に今回初めて気づいた。

 それにしても、タジオ一家はなんであんなに歩き回っているのだろうか。

◆映画.comの解説から引用

 巨匠ルキノ・ビスコンティの「山猫」と並ぶ代表作で、ノーベル賞作家トーマス・マンの同名小説を原作に、作曲家グスタフの美少年への心酔と老いの苦しみを描いた。「地獄に堕ちた勇者ども」に続いて撮られた、ドイツ3部作の2作目にあたる。療養のためベネチアにやってきたドイツの老作曲家アシェンバッハは、ホテルで少年タジオを見かける。一目で少年の美しさの虜になり、彼の姿を見つけるだけで喜びを感じ始める。全編に流れるのは、アッシェンバッハのモデルになったマーラーの「交響曲第3、5番」。2011年には製作40周年を記念し、ニュープリント版でリバイバル上映された。


◆4「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011年) A

 あの日父を失くした少年の、喪失と再生のものがたり

 アメリカには、9.11文学というジャンルがあるらしいが、そのジャンルでの傑作小説の映画化。

 父を亡くした少年が父の遺品の謎を探るうちに、その心の傷が癒えていくというストーリー。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い (2011年)

(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 父役はトム・ハンクス、祖父役はマックス・フォン・シドー、母役はサンドラ・ブロック。

 少年役(トーマス・ホーン)が名優たちを食う素晴らしさだ。

◆シネマトゥデイの解説から引用

 大好きな父親を911のアメリカ同時多発テロで亡くした少年が、父親の残した鍵の謎を探るべくニューヨーク中を奔走する姿を描く感動ドラマ。ジョナサン・サフラン・フォアのベストセラー小説を、トム・ハンクスとサンドラ・ブロックという二人のアカデミー賞受賞俳優の共演で映画化。『リトル・ダンサー』『愛を読むひと』の名匠、スティーヴン・ダルドリーが監督を務める。鍵穴探しの旅で父の死を乗り越え、力強く成長する少年には、映画初出演のトーマス・ホーンを抜てき。ダルドリー監督の繊細な演出と俳優陣の演技が感動を呼ぶ。


◆5「ザ・ファームー法律事務所ー」(1993年) B

 彼の夢が野望に変わった時
 巨大な黒い力が動き始めた…

 トム・クルーズはハーバードの優秀成績者で、 メンフィスにあってマファアの資金洗浄をしている会計事務所に年俸9万6000ドルでスカウトされるが、その真相を知り、消される前に退社するために、その悪事を告発するというストーリー。

ザ・ファームー法律事務所ー (1993年)

(C)2011 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

 シドニー・ポラック監督らしい話の運びの巧さだが、 策に溺れた感あり。

◆映画.comの解説から引用

 ハーバード大学を優秀な成績で卒業したミッチはある法律事務所から内定を受ける。最高の労働条件を提示され、大喜びで就職するミッチ。だが、この事務所には謎の死を遂げた4人の弁護士がいたことが判明。やがてミッチは事務所とシカゴ・マフィアの繋がりを知り……。マフィアのボスを相手に、青年の必死の攻勢を描くスリル満点のサスペンス。

◆6「遠い喇叭(らっぱ)」(1964年) C

 蜂起した全アパッチの猛襲に
 敢然と決戦を挑む
 第六騎兵隊青年中尉の雄姿!

 久しぶりに騎兵隊が馬に乗ってインディアンと戦う西部劇を観た。

 ただし、騎兵隊少尉(トロイ・ドナヒュー。写真)がアパッチ族の酋長と降伏交渉をするなど従来とちょっとニュアンスが違う。

遠い喇叭(らっぱ) (1964年)

 この少尉はラストでは軍務大臣に対してインディアンの扱いがおかしいと勲章を突き返す。

 最後の西部劇と言われた1959年の「リオ・ブラボー」(ハワード・ホークス監督、ジョン・ウェイン主演)から集団アクションの「荒野の七人」(1960年)を経て、イタリアでは同じ1964年にマカロンウエスタンの記念すべき第1作「荒野の用心棒」が公開されている。

◆映画.comの解説から引用

 「リオ・グランデ」のポール・ホーガンの原作を「連邦警察」のジョン・ツウィストが脚色、「遠い太鼓」のラウール・ウォルシュが演出した西部劇。撮影は「マクリントック」のウィリアム・H・クローシア、音楽を「スペンサーの山」のマックス・スタイナーが担当した。製作はウィリアム・H・ライト。出演は「パームスプリングの週末」のトロイ・ドナヒュー、スザンヌ・プレシェット、「二十歳の火遊び」のダイアン・マクベイン、「魚雷艇109」のジェームズ・グレゴリー、TVのウィリアム・レイノルズ、「侵略」のジャドソン・プラット、「地上より永遠に」のクロード・エイキンズほか。

 

/// end of the “cinemaアラカルト215「最強のふたり+5”///

 

(追伸)

岸波

 「ボニー&クライド俺たちに明日はない」は思い出の作品です。(僕も2回は観てると思う。)

 ちょうど大学二年の頃に来た映画で、「なんとなく評判だから」という軽い気持ちで行ったのが運の尽き。

 ラストシーンの大衝撃に、思わず絶句。

 まさかこんな結末になろうとは…と、改めて全編を反芻しました。

 ついでに、中国古典文学のレポートの代筆なんかも頼まれていたものですから、早速この”「ボニー&クライド」と「金瓶梅」の類似思想”なんていい加減なテーマで書いてあげた記憶があります。

 まあ、その後文句も言われなかったので、きっとアレで合格点を取れたのでしょう。

 しかし… 「ボニー&クライド」と「金瓶梅」の類似思想って何だ!?

 全く思い出せません(大笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

映画「金瓶梅」

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト216” coming soon!

 

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