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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2018.7.14】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 謎を解く鍵は日本にあった!

 これは今年3月に公開された「トゥームレイダー/ファースト・ミッション」のキャッチコピー。

新作の舞台は日本。トレジャー・ハンティングの狙いは卑弥呼の遺跡です。

 ということで、本年も半分を過ぎてしまいましたので、ここまで記事を書けなかった作品について振り返り、まとめてご紹介したいと思います。

トゥームレイダー/ファースト・ミッション

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

 10本ほど取り上げたいと思いますので、今回はまずその半分。

「トゥームレイダー/ファースト・ミッション」

「曇天に笑う」

キングスマン:ゴールデン・サークル」

「ちはやふる-結び-」

「嘘八百」

 ~以上の5本です。では早速参りましょう。

 

◆『トゥームレイダー/ファースト・ミッション』
  福島フォーラム:3月23日(金)

 トレジャー・ハンター"ララ・クロフト"

 このキャッチコピーの文字面を見ただけで、ほとんどの人がアンジェリーナ・ジョリーの顔を思い浮かべるはず。ほら、こんなふうに…。

 アンジェリーナ・ジョリー

 巨大な二丁拳銃をXに構えたこのポーズ、前髪を一筋たらし、後ろで一つにまとめた特徴ある髪型。

 映画「トゥームレイダー」はアンジェリーナ・ジョリーの出世作であると同時に、もともとビデオゲームとして製作された「トゥーム・レイダー」シリーズの主人公ララ・クロフトをゲーム世界を超えてブレイクさせた記念碑的作品でした。

ララ・クロフトは「ゲームヒロインとして最も成功した人間の女性」としてギネスに登録されています。

 で、今回の「ファースト・ミッション」は一人の大富豪の娘がトレジャーハンター"ララ・クロフト"になるまでの物語。

 新たなララ・クロフトにキャスティングされたのは、「エクス・マキナ」でAIロボットを演じたスウェーデン生まれのアリシア・ヴィキャンデル。

 あの華奢で透明感のある容姿、リアルでもプリンシパル・ダンサーを目指してバレエを踊っていたアリシアが、どうして筋肉隆々のマッチョ・ヒロインを演じることができるのか? ミス・キャスティングではないのか? 誰もがそう危惧したはず…。

 ところがっ!!

トゥームレイダー/ファースト・ミッション

(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

 やってくれました、アリシア・ヴィキャンデル。この役のための肉体改造に取り組み、見事鍛え上げられた細マッチョに。

 もともと運動神経は抜群であったため、手に汗握るアクション・シーンも難なくこなし・・・いやはや脱帽でございます。

 しかも今回のテーマとなる古代遺跡は日本。何とあの卑弥呼の墓を突き止めて、それさえあれば全人類を支配下におけるという究極のお宝を探索します。

ネタバレなので言いませんが、確かにそういう●●●を入手できれば、超強力兵器として使えるでしょう。  

 ストーリーの展開、お宝の謎、敵の黒幕のあまりにも意外な正体、サプライズもアクションもテンコ盛りで十分に楽しめる映画でした。

 アリシア・ヴィキャンデル

 ただし難を上げれば、中盤以降、卑弥呼の墓が眠る洞窟のシーンが続いて絵面(えづら)が非常に暗い。なので、大画面のスペクタクル・シーンというよりはホラーのテイスト。

 でもまあ、アリシア・ヴィキャンデルの躍動する肉体を見ているだけでオジサンとしては大満足。

 ラストシーンで、髪を後ろに束ね、巨大な二丁拳銃を取り出して、あの"ララ・クロフト"のXポーズをキメるところなんか、落涙ものでございました。

 良き後継者を得て、きっとアンジェリーナ・ジョリーも草葉の陰から喜んでいることでございましょう。 

←生きてるっつーの!

◆『曇天に笑う』福島イオンシネマ:4月7日(土)

 笑え。運命なんて、バカ野郎だ。

 「曇天に笑う」の原作は2011年3月から2013年6月まで「月刊コミックアヴァルス」に連載された唐々煙によるコミック。

 この絵が素晴らしく綺麗で男子も女子も魅力的。僕はKindleで全巻購入して読破しました。

 天火(福士蒼汰)

 時は明治初期の混乱期。主人公は琵琶湖湖畔の大津にある「曇(くもう)神社」で祭祀を務める天火・空丸・宙太郎の曇三兄弟。

 300年に一度現れるという人々に災いもたらす「大蛇(オロチ)」の器をめぐって、これを利用して天下大乱をもくろむ風魔一族とそれを阻止せんと動く右大臣岩倉具視(東山紀之)の直属部隊「犲(やまいぬ)」、そして「オロチ」そのものを鎮める宿命を持った三兄弟の闘いが始まります。

 主人公である曇三兄弟の長男:天火を演じるのが福士蒼汰。

 はい、原作のキャラクターに似ています。とても。

曇天に笑う

(C)映画「曇天に笑う」製作委員会 (C)唐々煙/マッグガーデン

 この映画、福士蒼汰や東山紀之をはじめ、古川雄輝、桐山漣、中山優馬、若山耀など若手イケメン俳優がテンコ盛り。(東山紀之は若手にあらず…でもイケメン)

 そうなのです。主要な登場人物がすべて男。

 原作の方には何人かストーリーのカギを握る女性陣も居たと思うのですが、そこをすっぱり切って、イケメン・オンリー。

 う~ん、こういう作り方をして喜ぶのは若い女性たちなのか、それともその筋の人たちなのか(爆)

 ともあれ、スピーディな展開と派手な殺陣の連続で見せます魅せます。

 でもまあ、僕的にはマスコット的なヒロインも加えて欲しかったナ。うん、オジサンとしては(笑)

◆『キングスマン:ゴールデン・サークル』福島フォーラム:1月7日(日)

 英国紳士が再び世界をブッ飛ばす

 2018年に入って最初に観たのがこの映画。一部には熱狂的なフリークも存在するというキングスマン・シリーズの二作目です。

 今度の敵は、世界に特殊ウィルスをばら撒いて死に至る病を発生させ、そのワクチン供与と引き換えに自分たちが生産する麻薬の合法化を迫るシンジケート、ゴールデン・サークル。

 その女首領のポピー(ジュリアン・ムーア)は、不始末をした部下を巨大挽き肉機でミンチにし、塩コショーしてほかの部下に喰わせるというサイコな野郎…いや女郎です。

 キングスマン

 前作でスカウトされた新人スパイのエグジー(タロン・エガートン)は正式に秘密諜報組織キングスマンのメンバーとなり、何故かスウェーデンの王女ティルデともいい中に。

 ティルデの両親であるスウェーデン国王夫妻の晩餐に招かれ出向いたその最中、キングスマン本部や諜報員の自宅が一斉にゴールデン・サークルのミサイル攻撃を受け、全員死亡・組織壊滅というハチャメチャな出だし。

 生き残ったのは国王夫妻と共にいたエグジーと戦力外の事務員マーリンの二名のみ。エグジーは復讐を誓い、アメリカにあるステイツマン本部と共闘するため旅に出ます。

 そんな中、ゴールデン・サークルがばら撒いた殺人ウィルスが蔓延しはじめ、なんと恋人のティルデまでが発症してしまう…。

キングスマン:ゴールデン・サークル

(C)2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

 キングスマンの本部は(表向き)紳士服の仕立て屋となっており、彼らの戦闘服は三つ揃えの背広。(やー動きにくそう…)

 下ネタジョークもスカトロも何でもアリで、ストーリーには突っ込みどころ満載。しかし、そこが面白いとコアなファンたちは言います。

 しかし今回はやり過ぎか。

 第一作で活躍した主演級のメンバーをいきなりのミサイル攻撃で全滅させたのには、コアなファンからも異論百出。

キングスマンのシンボルであるハリー・ハート(コリン・ファース)は、実は存命で記憶を失って発見されますが…。

 ハリー(コリン・ファース)

 また、ハル・ベリーやチャニング・テイタムなど主演級の俳優をほとんどチョイ役で使い捨てるのもどうなのか。

 「カントリ・ロード」が愛唱歌である事務員のマーリン(マーク・ストロング)は、せっかく生き残ったのに、最終決戦であえなく死亡。ここもかなり残念な設定で異論百出。

 さらには、実名で本人出演のエルトン・ジョンの悪乗り演技もちょっとやりすぎではないのか。

 まあ、最後は無理やりのメデタシメデタシとなるのですが、これもしかしてシリーズ二本で終わっちゃうのでは?

 ・・・と不安のよぎる作品となりました。

いや、最初からそのつもりで作った続編かもしれませんが。

◆『ちはやふる-結び-』福島イオンシネマ:3月17日(土)

 絶対に忘れないーーー

 今、この瞬間が私たちの全て。

 末次由紀原作の映画化三部作、遂に完結編です。

 前作から二年後、三年生になった瑞沢かるた部の綾瀬千早(広瀬すず)ら5人のメンバーは、部の存続をかけて新入生の獲得に奔走。

 やっと二名の一年生の勧誘に成功したのもつかの間、部長の真島太一(野村周平)が突然退部してしまいます。

 綿谷新(新田真剣佑

 もともと彼は名家の子息で東大を目指しており、部活と勉強の軋轢に苦しんでいたのです。

 しかし、それよりも何よりも、密かに思いを寄せる千早が「どうやら幼馴染の新(新田真剣佑)から告白され、いつ返事をするか迷っているらしい」という噂を耳にし、かるたへの情熱を失ってしまったのです…。

ちはやふる-結び-

(C)2018 映画「ちはやふる」製作委員会 (C)末次由紀/講談社

 その新は、全国制覇を目指して藤岡高校かるた部を創設。全国常連の錚々たるメンバーを集めて順調に勝ち上がっていきます。

 部長の太一を失った瑞沢かるた部は、苦戦しながらも全国大会への出場を決めますが、その帰り道、偶然太一に遭遇した千早は「なんでなの!」と泣きじゃくる千早に「俺はお前のためにかるたをやってきた。でも、もうやれない」と決定的な言葉を…。

 千早と太一(野村周平) 

 このシリーズ、広瀬すずにとっては青春グラフィティの記念碑的作品として記憶に刻まれるでしょう。

 それほどにピュアで一途で、こうと決めたら最後までやり抜く魅力的な主人公を熱演できたと思います。

 そして、新と太一との三角関係。いったいどう結末を付けるのか? …全国のちはやふるファンはやきもきしてその結果を待っていたに違いありません。

 その決着の時は、全国大会の決勝戦で負傷した大江奏(上白石萌音)に代わって太一が代打登場し、見事全国優勝を果たしたそのあとにやってきます。

決勝戦は大将同士の最後の一枚取り~運命戦までもつれ込みます。

 太一は、千早に告白の返事をさせるため、新のもとへ連れて行きます。そして、千早は新に対し…。

「私・・・・・・

 もっと強くなって、かるたで世界一になりたい!」

「ええ~」(太一と新、ズッコケ!)

 うん、いい結末じゃないですか。

 青春グラフィティはコレでよし!(大笑)

◆『嘘八百』福島フォーラム:1月13日(土)

 "幻"の利休の茶器で、大勝負!!

 今回最後のご紹介は、中井貴一と佐々木蔵之介のダブル主演「嘘八百」。

 古美術品を商う則夫(中井貴一)は、野田佐輔(佐々木蔵之介)から千利休ゆかりの黒楽茶碗を大枚で購入しますが、実はこの茶碗は野田の作った真っ赤なニセモノ。

 佐々木蔵之介と中井貴一

 野田は贋作造りで糊口をしのいでいる落ち目の天才陶芸家。その正体を突き止めた則夫(中井貴一)は、彼と話すうち、実は20年前に悪徳古美術商コンビに嵌められた共通の過去があったことに気づきます。

 そこで二人は共謀し、自分たちに辛酸をなめさせた悪徳古美術商を逆に嵌め返す算段を始めたのですが…。

嘘八百

(C)2018「嘘八百」製作委員会

 中井貴一がいい味出しています。2016年の「グッドモーニング・ショー」で、追い詰められ、逆に復活するテレビ・キャスターを好演しましたが、年齢を重ねていよいよ脂がのって来たという感じ。

 「超高速!参勤交代」でコミカルな殿様役を熱演した佐々木蔵之介も、こういうちょっとトボケた役をやらせると絶妙です。

 二人とも関西出身ですが、この作品は2015年の日本アカデミー賞優秀作品賞を受賞した「百円の恋」のメンバーが再集結し、約3年間の準備を経て制作。

 しかし、聞くところによると、たった16日間の撮影でクランク・アップしたとのこと。うむぅ・・それほど製作費が厳しかったのか(笑)

 小品ではありますが、記憶に残るなかなかの骨董ロマン、お宝コメディと言っていいでしょう。

 

/// end of the “cinemaアラカルト203「トゥームレイダー/ファースト・ミッション+4本”///

 

(追伸)

岸波

 このところの公開ラインナップを眺めますと、特に邦画の場合、少女漫画原作のものが目白押しなのに気づきます。

 考えてみれば、TV番組の場合も(少女漫画とは限りませんが)コミック原作が非常に多い。

 昔は原作イメージを壊すケースもあって”原作ものは難しい”と言われて来ましたが、何の何の…現代では原作のイメージにぴったりの若い役者さんが必ず見つかるんですね。

 こういう話をすると、既に大昔の話になりますが、さいとうたかをの「ゴルゴ13」が実写映画化されたことを思い出します。知ってました?

 しかも、二度にわたって実写化され、二人の俳優がデューク東郷を演じているのです。(さてさて誰でしょう?)

 その答えは、高倉健と千葉真一。

 う~ん、高倉健さんはちょっと見似てるような気がしないでもないですが、健さんの人の好さが滲む時があるし、冷徹なゴルゴを演じるには無理があるような。

 一方の千葉真一さん(今回取り上げた「ちはやふる」の新田真剣佑のお父さん)ですが、アクションついては言う事ありませんけど、睨み一つで相手を震え上がらせるゴルゴの無言の迫力は演じきれなかったような…。

 ということで、原作キャラに似た俳優がすぐに見つかるという点で、現代は俳優の層が厚くなっている・という事かも知れません。

それでもなお、ゴルゴ13の俳優は見つからない気がしますけど(笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

嘘八百(※ただいま仕掛中…)

(C)2018「嘘八百」製作委員会

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト204” coming soon!

 

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