こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
伝説よりも、ハデにいこうぜ。
すっかり映画づいて五週連続の映画鑑賞となった11月12日、またもやケイコと「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」を観てまいりました。
最近の予告編では「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル」と並んで“最も気になっていた映画”、そして“タイトルの長い”映画でございました。
どうしてこんなに長い題を付けるんだろう?
そして見終わって感激。 「なんでこんなに面白いの~!」
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船
(C)2011Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions,
S.A.S., and New Legacy Film Ltd. All rights reserved.
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アレクサンドル・デュマ原作の「三銃士」をベースにして、“もしもダ・ヴィンチの設計した飛行船が存在していたら”という前提で作られたこの映画。
監督は「バイオ・ハザード」シリーズのポール・W・S・アンダーソンで、「バイオ・ハザード」のような迫力あるシーンが満載。
8台の3Dカメラを用いた多角的な映像、『伝説よりも、ハデにいこうぜ。』のキャッチ・コピーに偽りはありません。
主演のダルタニアンには、2000年公開の「パトリオット」で子役デビューしたローガン・ラーマン。
敵役のバッキンガム公爵にオーランド・ブルーム、毒婦メレディに「バイオ・ハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチと、魅力あるキャスティング・・・いいなぁ!この感じ!
で、開演間際に息せき切ってチケットを買おうと・・・
じ、時間がない!席はどこでもいいから“夫婦50割”でお願いっ!
(売り子のオネーサン) あのぉ・・メガネはよろしいですか?
メガネ? ・・なんで?
この映画、3Dなんですけど。
しまったー!持ってこなかったーっ!?
…後悔先に立たず。さて、「無駄な出費」は「映画のデキ」で帳消しにできるのでありましょうか!?
物語の舞台は若きルイ13世が王位継承したばかりの17世紀フランス。
王位継承を機に権力掌握を目論む策略家の枢機卿リシュリュー(クリストフ・ヴァルツ)、イギリスからフランス本土への侵攻を窺う野心家のバッキンガム公爵(オーランド・ブルーム)、両者と情を通じる二重スパイの妖艶な美女ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)。
リシュリュー枢機卿は、陰謀の第一歩として、ルイ13世の王妃アンヌがバッキンガム公爵と昔馴染みであったことを利用し、王妃の不倫疑惑を仕掛けます。
妖艶なボディと鋼の戦闘能力を併せ持った謎の女スパイ、ミレディに命じ、ルイ13世が王妃に贈った首飾りを盗み出し、それをバッキンガム公爵の宝物塔に紛れ込ませます。
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三銃士/王妃の首飾りと
ダ・ヴィンチの飛行船
(C)2011Constantin
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一方、バッキンガム公爵からアンヌ王妃に宛てた「偽の恋文」を王の目の触れる場所に放置。
これを見つけたルイ13世は大いに動揺し、「リシュリュー大変だ!この恋文には、余が贈った首飾りを『一夜の思い出』にアンヌから公爵が貰ったと書いてある!どうしよう!?」と。
そこでリシュリュー少しも慌てず、「なら舞踏会を開いて、王妃にその記念の首飾りを必ずしてくるようにお伝えなさいませ。さすれば、そんな疑念などたちどころに晴れましょうぞ」。
う~ん、よくも抜けぬけと…。
驚いたのはアンヌ王妃。王に命じられて首飾りを確かめると、もぬけの空なのですから。舞踏会まで残された残された期間は5日間。さあ、どうする?絶体絶命のアンヌ王妃。
そこで立ち上がったのが、若き見習い銃士ダルタニアンとそれに協力するアトス、ポルトス、アラミスのフランス最強の三銃士!奪回を阻止しようとするリシュリューとミレディ。
4人のヒーローたちの運命はいかに? そして首飾りの行方は?
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三銃士/王妃の首飾りと
ダ・ヴィンチの飛行船
(C)2011Constantin
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さて、皆さんはデュマの「三銃士」を読んだことあるでしょうか?
僕は原作を良く知らないで映画を観たものですから、てっきりこの映画の世界は、単に古典の「三銃士」に題材をとっただけの創作ストーリーだと思っていました。
なにせ、ファイナル・ファンタジーのような飛行船で大空中戦をやらかしたりするもの。
しかも「三銃士」なのに、映画の主人公は銃士でさえないダルタニアンなのですもの。
ところがっ!
映画を観た後で調べてみましたら、「ダ・ヴィンチの飛行船が実在していたら」という設定を除けば、ほぼデュマの原作どおりのストーリーだったのです!いや驚きました。
では、なぜこのようなタイトルなのか?
実は、もともとデュマの書いた原作は『ダルタニアン物語』という長編シリーズで、その第一部が「三銃士」(第一巻「友を選ばば三銃士」、第二巻「妖婦ミレディーの秘密」)なのです。
その後、第二部・第三部と続く。
やー知らなかった。
でも、他にもそういう方がいらっしゃかも知れないので、僕が代表してカミングアウトいたします。(代表?)
あはははは!
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三銃士/王妃の首飾りと
ダ・ヴィンチの飛行船
(三銃士のアラミス)
(C)2011Constantin
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映画の冒頭は、三銃士とミレディが協力してヴェネチアにある秘密兵器の設計図(実は飛行船)を盗み出すシーンから始まります。
水中では無敵の動きができるリーダー格のアトス。天下無双の怪力の持ち主ポルトス。バットマンのような黒尽くめのコスチュームで空中から舞い降りて攻撃する身軽なアラミス。
そして、クノイチ(女忍者)のように俊敏な動きをするミレディ。
一人ひとりが見せ場を持って順に登場するのです。まるで必殺仕事人みたい。う~んカッコイイ!
群れ来る敵を蹴散らして謎の設計図を入手し、勝利の美酒を皆に勧めるミレディ。
妖婦ミレディ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)
ところが、そのワイングラスには毒が仕込まれていて、飲み干した三人は前後不覚に。哄笑するミレディ。そこに登場するバッキンガム公爵。
実は二人は最初からグルで、フランス最強の三銃士を手駒に使い、まんまと設計図を入手するのです。
薄れ行く意識の中で「信じられない」という目をするアトス。アトスは心底ミレディを信じ切っていたのです。
バッキンガム公爵が告げます…
「一つだけ大事なことを教えてやろう。『絶対に他人を信じるな。特に女はな。』あっはっは!」
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船 (バッキンガム公爵)
(C)2011Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions,
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…そんな刺激的なオープニングで映画はスタートします。
この凝った演出からも分かるように、息もつかせぬストーリー展開の中で次々にドンデンガエシが提示されるのです。
それは、観客までも巻き込んで騙してしまうので、その度に「やられたー」と喝采せずにはいられません。
どこのシーンかは秘密。ま、たくさんありますけれど。
それと、本当の主人公ダルタニアンを演じたローガン・ラーマンが実にさわやかでカッコイイです。
正義感が強く、無鉄砲で、めちゃくちゃ腕が立つけれどもちょっと間抜け。いいですね、このキャラ設定。
例えば…
銃士を夢見て田舎から出立し、パリへ向かう途中で7~8人の王宮騎士たちから蔑まれ、よせばいいのに剣を抜いて立ち向かうダルタニアン。
数人の手勢をあっという間に倒し、「次はお前だ」と首領格のロシュフォールに剣を向ける。
すると…敵は剣ではなく拳銃を出し、いきなり撃ってきます。あらららら。
ねっ♪
取り押さえられて、トドメの一発を打ち込まれそうになった刹那、馬車から顔を覗かせた貴婦人に命を救われるのです。
実は、この貴婦人こそ妖婦ミレディ。そして、ロシュフォールはリシュリュー枢機卿の腹心である近衛隊長だったのです。
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船 (妖婦ミレディ)
(C)2011Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions,
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パリに上ったダルタニアンは、ひょんなことから三銃士の一人ずつと出会い、三人とそれぞれ決闘することに。
実は、例の失態以来、三銃士は任を解かれてしがないバイト生活を過ごしていました。
特に、ミレディに騙されて人間不信となったアトスの心の傷は深いものがあったのです。
そんな三銃士とダルタニアンの決闘の場にやって来たのは、ロシュフォール率いる近衛兵団。
過去のいきさつから、三銃士は近衛兵団と戦うことになり、ダルタニアンも彼らに味方することに。
壮絶な戦いの末、4人対40人の戦いに勝利し、近衛兵団の日頃の行状を快く思っていないパリの市民たちから大喝采を浴びるのでした。
その戦いのさなか、ダルタニアンは美しい娘コンスタンスを見初めていて、彼女を口説こうとします。
「どうしてそんなに積極的なの?」
「エートそうだね、今日は火曜日だからさ。それと美女の前ではね。」
「サイテー!アナタの田舎臭い口説き文句なんかパリじゃ通用しないわよ。」
この台詞、大切。後から分かります。あはははは!
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船
(C)2011Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions,
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~以上のあたりまでが、導入でございます。
ここで登場した美しい娘コンスタンス(ガブリエラ・ワイルド)は実はアンヌ王妃の侍女で、後に王妃が首飾りを盗まれて危機に陥った時に、ダルタニアンに助けを求める伏線になっています。
決闘するはずが共に戦う羽目になったり、振られたはずが最愛の恋人になったりと、ドラマはどんどん意外な方向に展開します。
全く予測不能のストーリー、これはこの映画の最大の見所ですね。
そして、もう一つ。
舞台となる17世紀のパリの風景・街並みの美しいこと。
また、再現された王宮内部の超豪華な内装や調度品、うっとりといたします。
この再構築された17世紀パリを観られるだけでも一見の価値あり。
精緻なCGと実写の組み合わせなのでしょうが、観客をファンタジーの世界に引き込んでくれますよ。
そう、ファンタジー…「ハリ・ポタ」や「指輪物語」、「ナルニア」もそうですが、どうしても僕はリアリティを感じられなくて没頭できないのです。「作り物」という感じでしょうか。
ところがこの「三銃士」のように、少なくとも現実の世界をベースにした物語には引っかかりなく入っていけるのです。
そういう意味で、大人が楽しめるファンタジーとして、「三銃士」は秀逸な作品だと思います。
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船
(C)2011Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions,
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バッキンガム公爵を演じたオーランド・ブルームは、今回が「悪役初挑戦」だそうです。
「ロード・オブ・ザ・リング」のエルフ役でこの世のものとは思えない美しい弓使いを演じて以降、僕の大好きな俳優さんなのですが、本人の人徳の故か、いくら憎まれ口を叩いても「ワル」には見えないと言ったら、ひいき目すぎるでしょうか。
それと、妖婦ミレディ役のミラ・ジョヴォヴィッチ。「小悪魔」というのはこういう女性を言うんでしょうかね。
三銃士のアトスを人間不信に陥らせ、バッキンガム公爵の腹心のスパイとして振舞いながら、実はリシュリューともデキている。
男たちは、彼女の妖艶な魅力にどっぷり篭絡されています。
妖艶なだけでなく、空中をヒラリヒラリと飛び回って剣を使ったり、王妃の部屋に忍び込むのに、屋上から躊躇なく大バンジージャンプをしたりと、とにかくカッコイイのです。
アンダーソン監督が使い続けるワケが分かったような気がします。
さらに、アンヌ王妃役のジュノー・テンプル・・・彼女が日本人に見えてしょうがありません。
それも若い時の松田聖子にそっくり。(ぶりっ子だからか?あはははは!)
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船
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物語のクライマックスは、首飾りを取り戻したダルタニアンたちとリシュリュー枢機卿の意を受けたロシュフォール伯爵軍団との凄まじい空中戦です。
ところが、ロシュフォールは卑怯にも、ダルタニアンが愛するコンスタンスを自分たちの飛行船の舳先に括り付けて攻撃をできなくするのです。
「命を注意を救いたければ首飾りを渡せ」と。…進退窮まるダルタニアン。
アトスが告げます…「お前は、一人の女と一つの国とどっちが大事なんだ?」と。でも、それは真意ではありませんでした。
その後のアトスの台詞…泣かせます。(ナイショです)
全てが解決した…と思った後で、おそらく3回くらいはドンデンガエシがあります。
だから、最後まで気を抜いてはなりませぬ。ふっふっふ。
最後の方で印象に残ったシーン…。
コンスタンスを取り戻したダルタニアンは、彼女に猛アタック。
「どうしてそんなに積極的なの? ・・・美女の前だから?」
「エートそうだね、今日は火曜日だからさ。」
やられたー!言うじゃないか、ダルタニアン!
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船 (妖婦ミレディ)
(C)2011Constantin Film Produktion GmbH, NEF Productions,
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今回の大ヒットを受けて、同じキャスティングで続編もという話が出ているそうです。
だけど、「ダルタニアン物語」の第二部は『20年後』、第三部はさらにその10年後の『ブラジュロンヌ子爵』編。
どう考えても同じメンバーでは無理な気がします。もしかすると、時代的に繋がったオリジナル・ストーリー?
そっか、それで映画の最後にあのシーンが出てきたのか!?(ナイショ)
肝心なことは書けないトコがたくさんありますので、真実は映画館でどうぞ♪
(追伸)
映画が終わってからも席を立ってはいけません。あはははは!
/// end of the “cinemaアラカルト133 「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」”///
(追伸)
岸波
ルイ13はもちろん、枢機卿リシュリューもイギリス宰相のバッキンガム公ジョージ・ヴィリアーズも実在の人物。
いえいえ、三銃士であるアトス、ポルトス、アラミスにも実在のモデルが存在し、それぞれ本名はアトスがアルマン・ドゥ・シレーグ・ダトス・ドートヴィエイユ、ポルトスがイザック・ドゥ・ポルトー、アラミスがアンリ・ダラミツで、三人ともガスコーニュ出身の貴族でした。
で、我らが主人公ダルタニアンもまた実在の人物なのです!
1700年に、クールチル・ド・サンドラスという元銃士の経歴を持つ人物が、実在した銃士隊長「シャルル・ダルタニャン」を主人公とした回想小説「ダルタニャン氏の覚え書き」をオランダで出版しています。
この回想小説とデュマの「三銃士」は、登場人物やストーリーも含めて一致点が多いことから、デュマが参考にしたのは間違いないと言われています。
う~む…ってことは、かなり「歴史的事実」も含まれているのか?
でも、驚くのはまだ早い。
実在のダルタニャンの子孫は現存していて、『マルキ・ド・モンテスキュー』というアルマニャック産のブランデーを製造しているのです!
ええ~!
映画「三銃士」にちなんでドンデンをいくつか用意してみました。あはははは!
では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !
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三銃士/王妃の首飾りと ダ・ヴィンチの飛行船
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be continued⇒ “cinemaアラカルト134” coming
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