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"ホシノキセキ" by -WindSphere-
 

(丸山芳子)2月のはじめ、マスクをして帰国しました。

 

【2020/2/2】 2度目のヘルシンキ

(※この記事は旦那様の丸山常生さんが芳子さんのサイトに投降したものです。)

 ラップランドでの諸々の所用も無事完了。

 途中、様々な出会いとともに、思いがけないトラブル(連れ合いの体調不良、荷物の盗難騒動など)にも見舞われましたが、旅の日程も北から南下しつつ3日間のヘルシンキ滞在が最後。

 2度目のヘルシンキですが、どんどん変わってきています。

 ヘルシンキで印象に残った事をわずかですがアップ。

 自分の作品のことやその他は、帰国後いずれご報告します。

 新しい街づくりの環境設計は、モダニズムの良き部分がき ちんと継承されている。

 構造が持つフォルムと色彩が一体 化しているので、全体が美しく落ちついて感じられる。

 表層の記号(例えば広告看板など)がはじめに目に飛び込んでくることに慣れてしまいがちな眼には、あらためて新鮮 に映る。

 フィンランド撮影美術館のVIVIAN MAIER。元祖自撮りポートレート。

 結果的に当時の社 会があぶり出されてきて、奥行きの深いものとなっている。

 Oodi(ヘルシンキ中央図書館)

 老若男女自由に夜8:00まで気軽に使える。普通の図書 館の機能を拡張し、ミーティングルーム、映画、ワークシ ョップルーム、PCなど様々に使える。誰でも大判プリン タや3Dプリンタも自由に使える環境は羨ましい。

 

 こちらの公共のトイレで時々見かけるユニセックストイレ 。扉を開け階段を降りると広いホール状の空間で、個室トイレのドアはスリガラス。

 使用者のシルエットが少し映るのでびっくり。でもこのニュートラルでオープンな感覚もすばらしい。

 Anu Tuominen( @HAM_ヘルシンキ市立美術館)

 これほど、多くの人々がほのぼのとした雰囲気で楽しんで 鑑賞するコンセプチュアル・アートは初めて。すごいなあ。知らなかったが、すごくいいアーティスト。

 帰り際、偶然作家本人と対面し、挨拶。他の観客は気づかなかったようでラッキーな出会いでした。

(※写真撮影は丸山常生氏(右の背景写真も)。最後の写真のみヘレナ・ユンティラさんが撮影。)

【2020/2/3】 帰国

しっかりマスクで予防して、無事に帰国しました。ロヴァニエミ美術館での開催を無事に終了させて、列車で南下し、ヘルシンキでの美術館巡りで最も楽しみにしていたのが、Kiasmaの2、3フロアをつかった企画「Coexistence」。私たちの開催「精神の〈北〉へ vol.10:かすかな共振をとらえて」や私個人の作品「森羅万象というあなた #1909」にこめたテーマとリンクするところがあるからだ。

「Coexistence」のフロアには、いくつかの興味深い作品があったが、最も強い印象を受けたのは、Marja Helander の映像作品 「Birds in the Earth」。

https://www.youtube.com/watch?v=Mu_M1eLwHLo

 北欧の先住民族サーミの衣装を身につけた可憐な2人の女性が、バレリーナの姿にすり変わり、雪のラップランドの凛とした自然のなかを行く。雪原とバレリーナの姿は自然に白鳥のイメージに直結し、バレリーナは白鳥の化身のようにも思える。そしてサーミの存在も白鳥などの野生動物も、人間の無関心と無配慮によっては消滅する時が来るかもしれない。

 都会のビル街を、ガソリンスタンドを、人の気配のないサーミの遊園施設を、バレリーナが行く。サーミの人々の多くが生業としていたのはトナカイ放牧だが、バレリーナが放ったロープに掛かって引き寄せられたのはトナカイではなく、家電製品や嗜好品だった。

 これは、サーミの本来の生き方や文化を維持するのは困難になり、暮らしが変化しつつあるということだろうか? サーミについて深い知識もない私の、かってな解釈に過ぎないが、先住民族に伝承された深い知恵やワイルドな強さと、守らなければ消えてしまいそうな美しい儚さとが同時に存在している。

 そしてそれらは、日本の東北地方にも同じ事が言えるのだと思う。高齢化と過疎化が進めば、貴重な伝承文化はどうやって残せるだろう?

 最後のシーンで、トナカイを集めるらしい放射状の有機的なかたちの真ん中でバレリーナが回るのを空から見た視界は、細胞のかたちにも見える。人間を生物として俯瞰するかのように。サーミの伝承の歌ヨイクが響く。

 なぜだろう、涙がとまらないのはシンパシーを感じているから?意味がわからなくても、人間の普遍性という機微に触れる表現は強いなあ!

 Kiasmaの展示として、この直後に見たベネチアビエンナーレのスカンジナビア館出品作品は、何もかもを人工的に作り過ぎて、あるのもに似せようとリアルにつくっていることが却ってリアリティからは遠ざかっているように見えた。

 自分にもそういうところがあると気づかされる。見る人の感性に届く、表現としてのリアリティとは何かを、この作品「Birds in the Earth」は示している。

葉羽 「Birds in the Earth」・・見ていて胸に迫るものがありました。お帰りなさい♪

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