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 その61 シネマ備忘録
「モーニングコーヒー」Benchi time

 つまり、いずれ通信本編に書くネタを忘れないためのメモ書き。

 本日、数十年ぶりに「Cinemaの連荘」をやってしまいました。

 珍しく午後から映画館に行ったのと、たまたまそこでチェックしたらば、「こち亀ザ・ムービー」の終了時刻と「トランスフォーマー3D」の開始時間が近接していたので、「いっそ、続けて見ようか」ということになったのです。

 最初の「こち亀」…正式には『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE ~勝どき橋を封鎖せよ!~』という長いタイトルですが、これは期待を大きく(良い意味で)裏切る映画でした。

映画「こち亀」

(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社

(C)2011『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE』製作委員会

 そもそも、世の中が暗いし、菅総理はズルズル居座っているしで、せめて映画くらいは明るいのを見ようと軽い気持ちでチョイスしただけだったのです。

 ところがっ!

 結果は、中盤以降「感動の嵐」で、僕、泣きまくりだったのです。

 これだけ正味で涙を流し続けたのは、「Always三丁目の夕日」以来ではなかったでしょうか。

 原作の「こち亀」自体、そんな重いストーリーではないし、主演の慎吾くんも大げさな演技で両さんを楽しんでやっているし、タイトルまで「踊る大捜査線」のパクリで三流テイストがぷんぷんということで、まさか泣かされるとは思ってもみなかったのです。

 この映画の成功は、漫画「こち亀」をそのまま映画化するのではなく、そのキャラ設定を使って全く別なテイスト(いや、「全く」ではないか)の作品に仕上げたことでしょう。

 登場人物こそ、両さんや中川、麗子、大原巡査部長など亀有公園前派出所の面々が出てきますが、話の主軸は「VIPの孫娘の誘拐事件」と両津の幼馴染である「桃子との恋模様」の二つに置かれています。

 「誘拐事件」の方はシリアスそのもので「踊る」テイストに、「恋模様」の方は「寅さん」テイストの切なく可笑しい物語に。

 まあ、マンガの「こち亀」ファンからは、「原作とテイストが違いすぎる」という非難が出るでしょうが、原作のままなら別に映画化するまでもないと思います。

 (あくまでもマンガというフィールドでこ活きる作品だと考えますので。)

映画「こち亀」

(C)秋本治・アトリエびーだま/集英社

(C)2011『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE』製作委員会

 シリアスなストーリー、意外な真犯人などのドンデン返し、あと一歩で成就しそうな恋を自分でひっくり返す両津と、それだけならば、ただのいいとこ取りのごった煮パロディで終わったでしょうが、監督はそこに「もう一つ」を加えました。

 それこそ、感動の理由。

 詳しくは「Cinemaアラカルト」で書きますが、この映画には「本当の悪人」は誰一人登場しないのです。

 「踊る」で描かれたような、上から目線の「本店」の傲慢ささえありません。

 真犯人でさえ、多くの人は彼に感情移入することでしょう。

 「善人」ばかりなのに、ささいな行き違いから不幸な出来事、悲しい別れが起きてしまう人情話…それはまるで「Always」のようであります。

 しかしまた、それだけ映画として「佳作」でありながら、おそらく興行的には失敗するだろうということも予測されました。

 その辺の理由は「本編」で書くことにいたしましょう。

 一方の「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」ですが、一作目・二作目ともそれなりの興行成績を残しており、今回は初めての3D作品ということで迫力ある映像が期待されています。

 しかあしっ!

 うちのケイコは、コレを見に行くことにかなり抵抗したのです。

 「だってさ、どうせアメちゃんストーリーでしょ。薄っぺらなのよねー」と。

「トランスフォーマー
/ダークサイド・ムーン」

(C)2011 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved. HASbrO, trANSFORMERS and all related characters are trademarks of Hasbro. (C)2011 Hasbro. All Rights Reserved

 「そりゃそうだろうさ。でも、商業主義・大作主義、ド派手な演出で中身が薄い。ホラね、未だにアメリカはこんなの作っちゃって。まったくぅ・・って確認できるだけでも安心するでしょ?」

 ~と、自分ながらワケの分からない口説き文句で、ようやく連れ出したのです。

 (ケイコが見てもいいといった「こち亀」と上映時間が連続するのも密かに確認して…。)

 結果、どうであったか。

 感想は大きく二つ。

 ここまでご都合主義のパッピーエンド・ストーリーを、よくも恥ずかしくもなく作るよね。

 そして、「3D」映画の限界を感じたということです。

 ケイコが言うように、似たような話でも「ガンダム」や「ヤマト」など日本のアニメなら、「葛藤」であったり「犠牲」であったり、心にぐっとくるエピソードが必ずある。

 そういう部分を抜きにして、ド派手な映像効果やメカニックに凝るものだから、一つも感情移入できない。

 何のことは無い、人間が着グルミに入って戦うウルトラマンとバルタン星人の部分をCGに置き換えただけではないか、というのです。

「トランスフォーマー
/ダークサイド・ムーン」

(C)2011 PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved. HASbrO, trANSFORMERS and all related characters are trademarks of Hasbro. (C)2011 Hasbro. All Rights Reserved

 その上で、ご都合主義の極めつけは、主人公の若者(シャイア・ラブーフ)の決め台詞「僕が助けに行かなくちゃ!」。

 この主人公、何の武器も戦略も持たず、恋人を拉致した悪の大組織のアジトに裸一貫で飛び込んで行くし、善と悪の巨大トランスフォーマーのボス対決にまで、素手で助けに行こうとする…。

 でもって助けちゃうという、アラアラ不思議アラ不思議なストーリーなのです。

 ま、「3Dの限界」の件は、これもCinema本編で書きますので、こう御期待でございます。

 《配信:2011.8.9》

葉羽葉羽 ドミニクの「HP7」が、先になるかも知れませんが。

 

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