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昨日(3月9日水曜日)、今期(2021年4月1日から2022年3月31日)の藤井聡太(19歳)の公式戦の最終戦であるB級1組順位戦の最終局が朝10時からあった。

 勝てば名人への挑戦者を決めるA級順位戦への昇級が決まる。さらに藤井聡太にとっては、この対局が今期の公式戦最終局。2016年14歳でプロ入りして以来続いている年度勝率8割がかかった対局なのである。負ければ8割を切るのだ。

 相手は、藤井聡太30連勝を阻止した棋士として有名な佐々木勇気七段(27歳)。この対局が朝からAbema TVで放映されたので、1日中仕事をしながら観戦。

 先手の佐々木は、密かに研究していた秘策を繰り出して、藤井は対応に苦慮して長考に沈んで2時間以上考慮時間(持ち時間各6時間)を削られる。

 佐々木が先制攻撃に成功し60ー40でリードを奪う。昼食休憩後にやや藤井が盛り返し、さらに佐々木に緩手が出て藤井が60ー40でリード。

 このまま押し切るかに見えたが、藤井が佐々木の王手への対応で疑問手を指してまた40ー60で佐々木がリードした。

 これはヤバい展開と思っていると、夕食休憩後に佐々木が放った奇手が疑問で藤井が60ー40でリードを奪い返す。ここからは藤井がリードを優勢、勝勢と広げて、最後は17手詰めに仕留め90手で勝利。終局は23時17分。

 藤井の息詰まる戦いで、こちらは仕事にならず、Abema TVに釘付け。1日潰れてしまった。まあ、藤井が勝って昇級なら良しとしようか。

 実は、藤井が敗れても、昇級を争っていた稲葉陽九段(33歳)か千田翔太七段(27歳)のいずれかが敗れれば藤井はA級へ昇級できたのだ。

 しかし、結果的に稲葉も千田も最終局に勝利していたので、佐々木勇気戦の勝利は運命を決める1勝だったのだ。

 これで今期の藤井聡太は全ての公式戦を終え、52勝12敗(勝率8割1分2厘)。王位戦が豊島将之相手の防衛に成功(4勝1敗)、またこの豊島からは、叡王(3勝2敗)、竜王(4勝0敗)の2つのタイトルを奪取し、豊島を無冠に追いやってしまった。

 また渡辺明名人とは棋聖戦が3勝0敗でストレート防衛。さらに渡辺からは王将位を4勝0敗でストレート奪取。

 考えてみると、今期のタイトル戦は、現在の将棋界の最強と言われる渡辺明(37歳)、豊島将之(31歳)としか戦っていないのだが、圧倒した。

終局後に感想戦を行う藤井聡太(左)と佐々木勇気

 藤井聡太は現在5冠保持し、来期からはA級順位戦で渡辺明名人への挑戦者を決めるリーグ戦を戦う。ほぼパーフェクトな内容の2021年度だった。

 今後藤井聡太が奪取を目指すタイトルは、名人(渡辺明)、棋王(渡辺明)、王座(永瀬拓矢)の3つということになる。

 19歳の藤井聡太は、今期格段の進化を遂げたが、まだまだ進化の余地はありそう。たぶんあと3年は進化を続けるのではないか。それまでに8大タイトル独占ということになるか。

(2022.3.18「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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