「windblue」 by MIDIBOX


昨日、新日本フィルの演奏会に行った時に、プログラムと一緒に手渡されたチラシ。

『7月12日(金)14時と7月13日(土)14時のコンサートの指揮者変更のお知らせ。』

ベアトリーチェ・ヴェネツィ氏

 アロンドラ・デ・ラ・パーラ氏の来日が本人のやむを得ない事情のためキャンセルになり、代わりにベアトリーチェ・ヴェネツィ氏(上掲写真)が出演。

 女優?あまりの美形にしばらくチラシの写真に見惚れてしまった。20代のイタリア人女流指揮者だ。

 指揮棒を持っていなければ、そのコンサートで協奏曲の独奏をする美人ピアニストか美人ヴァイオリニストにしか見えない。

 で、やむを得ない事情で来日をキャンセルしたパーラ氏の写真が下。

アロンドラ・デ・ラ・パーラ氏

 おい、おい指揮者の世界もヴィジュアル系の時代になったのか。

 パーラ氏は1980年10月31日にニューヨークに生まれ、2歳の時にメキシコへ。メキシコ人らしい。メキシコ観光省文化大使を務めている。

 38歳だから、上掲20代のヴェネツィ氏と違って、大人の女の魅力に溢れている。やはり、写真では誤解を招かないように指揮棒を携帯。

 ご存知かどうか、少なくとも女流ピアニスト、女流ヴァイオリニストの世界は、だいぶ前からヴィジュアル系の時代に入った。こういうことを書くとフェミ二スト同盟に何か言われそうだが、事実だからしょうがない。

 楽器が上手いのは当たり前で(下手なのは論外)、容姿端麗でないとなかなか稼げない時代になってしまった。またこの傾向は、男性器楽奏者にも少なからず及んでいるようだ。

 しかし、器楽奏者と違って、才能に加えて経験やコミュニケーション力を始めとした「人間力」が求められる指揮者の世界は、「ヴィジュアル系の波」は来ないと思っていた。しかし、それはどうも違うようだ。

 そういえば、有村架純が天才少女指揮者を演じた映画「リトル・マエストラ」(2012年)があるらしいが、イタリア語(スペイン語も)で男性指揮者はマエストロ、女性指揮者はマエストラである。

 オーケストラというのは男性社会だが、マエストラたちは、まず着る物に悩み、男性オーケストラ団員の視線に悩まされるという。

 しかし、ビッグオーケストラの首席指揮者に選ばれるマエストラが徐々に登場し始めている。

 ボルティモア交響楽団の首席指揮者を2017年まで10年間務めたマリン・オールソップ(62歳。どうでもいいことだが同性愛者であることを公言)やハンブルク歌劇場の総支配人兼音楽監督を2005年から10年間務めたシモーネ・ヤング(58歳)、バーミンガム市交響楽団現常任指揮者のミルガ・グラジニーテ=ティーラ(32歳、写真下掲)が筆頭格。

 昨年はヤングの指揮する新日フィルで、ブルックナーの交響曲第4番初版を聴いたが素晴らしい統率力を発揮した名演だった。新日フィルは、どうもマエストラに注力しているようだ。

 7月には、オペラグラス持参でベネツィ女史のご尊顔を拝しに錦糸町のトリフォニーホールまで出掛けてみるか。

                

(2019.7.12「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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