「windblue」 by MIDIBOX


毎日、瀑布のように降ってくるファッション・アパレル関連のニュースを追っていると、不感症になって、そんじょそこらのニュースでは驚かなくなってしまうのだが、それでも「えっ!?」というニュースが1週間にひとつ程度はある。

 最近驚いたニュースをまとめてみた。読者の参考になれば幸いである。

    

1 ケンダル・ジェンナーのインスタフォロアーが8500万人だった件

 4月末にジャコモ・ミッソーニにインタビューした。ミッソーニファミリーの第三世代の好青年である。

ジャコモ・ミッソーニ

 「君、阿部寛に似てるなあ。『テルマエ・ロマエ』っていう日本映画見たことある?」なんていうどうでもいい話もしていたのだが、驚いたのは今、ミッソーニのカタログに使っているモデルのケンダル・ジェンナー(22歳)のインスタグラムのフォロアーが8500万人だったこと。

ケンダル・ジェンナー

(※右の背景画像もケンダル・ジェンナー)⇒

 いくらなんでも、日本の人口ぐらいフォロアーがいるなんて、そんな馬鹿なと、通訳に確認したが、間違いないとのこと。

 いやあ、ビックリしたなもう!!

 しかし、そんなに「いいね!」の大安売り、なんか異常で暴力的なものを感じるのだが。

    

2 「ボルサリーノ」の破綻危機回避と愛用者の現在

 「ボルサリーノ」と言えば帽子の代名詞だが、昨年末に倒産危機にあったがなんとか切り抜けたようだ。

 しかし、危機の最中、この名門企業の年商が1800万ユーロ(23億円)しかないと知って、驚いた。

 このブランドはもう過去の遺物でしかなかったわけだ。遺物だとは言っても、森友問題、セクハラ問題で現在渦中の麻生太郎・財務大臣(77歳)もご愛用だ。

財務大臣ご愛用

 ちなみに財務大臣が背広を誂えるのは青山のテーラー森脇。よく通う六本木5丁目の会員制クラブは「BOVARY(ボヴァリー)」で経営者は元日銀OLにして元モデルの雀部(ささべ)敏子さんだそうです。

 「ボヴァリー」なんてクラブの店名は簡単に思いつかないもんですよ。

 麻生大臣はこのクラブに3年間で2000万円使ったと週刊誌に書いてあった。ボルサリーノとボヴァリーですか(笑)。

    

3 「ナインウエスト」「トイザラス」にみるアメリカの危うさ

 4月にギブアップした名門企業はナインウエスト。こちらは1978年創業だから、40周年の破綻。負債総額は10億ドルから100億ドル(1兆円)。ずいぶん幅があるが、再建のやり方によるのだろう。

 いずれにしてもこの人気靴ブランドはジ・エンドだろう。

ナインウエスト

 特にミレニアル世代からNO!を突き付けられるなど、広告、商品すべてにわたって「ズレてるー」という古さが際立っていたという。

 業界は違うが、玩具販売の有名企業トイザラスも昨年9月連邦破産法11条(日本の民事再生法にあたる)を申請し、再建の道を模索していたが3月に再建を断念し、全米735店舗を閉鎖し、売却・清算することになった。

 負債総額は5300億円。原因ははっきりしている。アマゾンだ!!

 アメリカは、外ズラだけ見ると、株も上がっているし、景気はいいことになっているけれども、こういう有名企業がネット小売業に潰されるのを見ると、とてもそんな風には見えないのであるが。

    

4 悲惨の極み英国のファストファッションの現在

 もうブレグジット(英国のEU離脱)から1年が経過しようとしているが、
どうもイギリスの景気も芳しくないようだ。

 ブレグジットの影響なのかどうか。その端的な例として、同国におけるファストファッションのリアル店舗が大不調だというのだ。

 日本からさっさと2015年に全店撤退した「トップショップ」を始めとするフィリップ・グリーン卿が率いるアルカディア・グループ)がイギリスでも、やはり苦戦を免れず、大量閉店に追い込まれており、グリーン卿は全ブランドの売却を考えているという。

フィリップ・グリーン卿

 「トップショップ」だけではない、英国に286店舗ある「H&M」は1%ととはいえ減収。増収だったのは「ZARA」くらいである。

 英国におけるファッション関連の閉店数は昨年1年で5855店に上るという。

 ファッション店舗総崩れの理由は簡単、これもまたネット! もはや世界中で、悪魔のようにインターネットが跳梁跋扈している。

 日本のファッション企業のトップは、口を開けばEC強化と何とかの一つ覚えみたいだが、いずれ英国みたいになるのだろう。

    

5 初年度600億円達成のGINZA SIX化粧品売り場から「ゲラン」が早くも撤退

 銀座のど真ん中に昨年4月20日にオープンしたモール「GINZA SIX」が、初年度売り上げ目標600億円(オフィスの賃料含まず)を達成した。

 ビルの関係者にはたいへん失礼ながら、この目標達成には正直驚かされた。せいぜい400億円程度とみていたから。かなりインバウンドに助けられたようだ。

 それより、同館でもっとも好調な地下1階の化粧品売り場からLVMHグループの化粧品ではもっともハイグレードな「ゲラン」がわずか1年で撤退していたのには驚いた。

 代わりに隣にあった同グループの「DIOR」が売り場を拡張した。

 「DIOR」はTVコマーシャルを大量に放映中だが爆発的に売れているリップ・リキッドを始め絶好調なのである。

 とにかく、東京は外人が異様な増え方をしている。電車が混み過ぎて、配給を求める人々でごった返す終戦直後の列車みたいな感じ。

 特に銀座と新宿が酷い。シンゾー、なんとかしてくれよ。

                

(2018.7.11「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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