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世界経済は、ギリシャ財政危機問題で揺れに揺れているが、日本のラグジュアリー・マーケットはそんなことにはお構いなしに、活況を呈している。

 こうした高額品に強い百貨店に関しては、ハンドバッグを中心にしたラグジュアリー・ブランドも高級宝飾・高級時計の有力ブランドもこの春(3-6月)に関しては前年比2ケタ増は当たり前で、銀座、新宿などのインバウンド(来日外人)消費が旺盛な地区に関しては前年比130~140%という驚異的な売り上げを記録している。

 依然として続く円安により、日本で買う方が安いために、来日外国人の高級ブランド買いは急増している。

 また、インバウンド消費ほどではないが、株高による日本人富裕層の高額消費も活発だ。百貨店ではいわゆる「外商顧客」と呼ばれている人々だ。

将軍塚の舞台から日没を臨む招待顧客たち

 そうした中で、「カルティエ ロワイヤル」と銘打たれたハイジュエリーの受注イベントが6月2日から6日間にわたり京都国立博物館の明治古都館を舞台に開催された。この明治古都館は国の重要文化財に指定されている。

 今回のイベントで紹介されたのは、希少価値の高い宝石を贅沢に使用した約430点だ。430点の内訳はハイジュエリー約340点とウォッチ約40点、「カルティエ トラディッション」と呼ばれる約50点だ。

「カルティエ  トラディッション」は「カルティエ」が買い戻した過去の作品で、その正当性と来歴を保証して再度販売する作品だ。

「カルティエの作品はアートである。現在の我々のクリエイションは明日の宝であることを多くの人々に実際に確かめていただきたい」とカルロ・ガリリオ=カルティエ プレジデント&チーフ エグゼクティブ オフィサー。

「カルティエ」のブランドカラーの赤でライトアップされている明治古都館と
左の平成知新館には「カルティエ」のロゴが浮かび上がる

 このイベントに招待されたのはいわゆる「カルティエ」のVIP顧客で、日本はもちろんのこと世界中からこの受注会を訪れた。

 カルティエ インターナショナルのスタニスラス・ド=ケルシズ社長兼最高経営責任者は「京都は長い歴史のある文化都市。たとえば今回招待客の皆様にガラ・ディナーを楽しんでいただいた将軍塚青龍殿は、桓武天皇がここから京都の街を眺めて、都を置こうと決めた由緒ある場所だ。我々のラグジュアリーなコレクションを披露するのにふさわしい街である。従来メディアに公開しなかった顧客受注会で今回は初めて公開するに至ったが、『カルティエ トラディッション』を始め我々のコレクションの素晴らしさを公開する絶好の機会だと考えた」と話している。

 コレクションの展示の他にも、京都の絶景スポットとして最近注目を集めている将軍塚青龍殿ではガラ・ディナーが6月4日と5日の2日間にわたり開かれた。

 招待客は標高220mの将軍塚から日没と眼下に広がる京都市街の眺望を堪能し、観世流能楽師の津村禮次郎(れいじろう)が監修・出没した能とバレエをコラボレーションしたオリジナル・エンタテインメント「羽衣物語」を鑑賞。その後青龍殿で気鋭のシェフ・須賀洋介による創作フレンチに舌鼓を打った。

能とバレエのコラボしたオリジナルのエンターテインメント

 贅の限りを尽くしたイベントと食事をして最高のサービスを満喫した上顧客たちの財布のヒモは思いっきりゆるくなったのではないだろうか。

 同イベントは「カルティエ」にもその顧客たちにも大きな感動を与えたようだ。

                

(2015.7.21「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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