「windblue」 by MIDIBOX


専門誌だと2月号は、例えば「読者が選ぶベストディスク」「評論家が選ぶベストコンサート」みたいな特集が目白押しである。

 最も有名なのは評論家によるキネマ旬報の映画ベストテンだろう。

 ハリウッドの超大作も作家性の強いインディーズ映画もバランスよく選ばれて参考になると言われ続ける目玉特集である。

ジャン=ルイ・シェレル

COMME DES GARCONS
2015 SS PARIS COLLECTION

Photo by Giovanni Giannoni
(c) Fairchild Fashion Media

 しかし、ファッション業界ではあまりこういう企画を見たことがない。日経トレンディとか日経系が今年のベストセラー番付をやるぐらいか。

 番付というのがなんともオールドタイマーで笑える。ファッションでは、こういうことはまずやらない。

 とにかくファッション評論ではコレクション評というのがわかりづらい。褒め殺しなのかどうかわからないぐらい褒めまくっている。

 コレクション取材担当者は、今年のコレクションショーのベスト3ぐらい選んで理由を書いて、自分のファッション観を明らかにしてはどうか。

 とはいえ、これだけファッションの世界で商業主義が横行するとクリエーション及びオリジナリティを基準にベストコレクションを選びましたなんて言えるジャーナリストはいないだろう。

 ベストを選出しても、その選定理由は「私も着てみたい」「売れそう」「ウチに広告がたくさん出ている」「KWAII」程度のジャーナリストがほとんどだろう。

 「そもそも、ベスト選びなんて遊びなんだからそんなに目くじら立てるなよ、クリエーション&オリジナリティで選んだらベストはコム デ ギャルソン軍団の独壇場になるんじゃないか」という声も聞こえてくる。

ジャン=ルイ・シェレル

COMME DES GARCONS
2015 SS PARIS COLLECTION

Photo by Giovanni Giannoni
(c) Fairchild Fashion Media

 遊びと真剣の境目、これがなかなか難しいのだ。ファッション・ジャーナリズムなんていうだけ野暮で、遊びもなければ、真剣もない。

 これでは前に進めないだろう。

                

(2015.1.29「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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