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Story&Illust by 森晶緒
“Brown on Blue” by 佑樹のMidi-Room
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<soul-56> 歴々の女性

 露子がまぁまぁと明の肩をガッチリ掴むと押し留め、

「こちらの話ですから気になすらなくて結構ですのよ?
 女性の見地から私ども頼まれまして、
 かつ率先してご相談申し上げてますのですから。

 最も今更材料も無くどうこうはできないまでも、
 正装はマナーと言いますよりお相手である真野ちゃんへの
 エチケットでございましょ?

 んー、そうですわね。
 真野ちゃんに一存するのでしたら、私もとやかくは言いませんことよ?」

「よろしいんじゃないですか?」

 そう柔らかく希和子が微笑めば、民も頷きながら

「まぁ、真野ちゃんの意見は今さっき聞いてますから、
 このままでいいって方向で…それでいいのよね?真野ちゃん?」

「………」

 とブスッとしながらも頷く真野。

 明は呆れて

「何を勝手に決めてんのかは知らないですけどね……とりあえずギャル。
 お前その顔ブサイクだぞ」

「!?だーかーら!!あんたにお前呼ばわりわ!!
 ギャルじゃなっ!!ブサイクって!?」

 と、とっちらかって怒る真野の体を、明の腕の脇から押し留めて、露子が今度は真野をなだめながら

「真野ちゃん!!どうどう。
 全くブサイクだなんてナンセンスなお話ですわよ!!
 気にしなさんな!!」

 思わず下町言葉で慰めると、希和子も

「真野ちゃん。ブスッくれてる表情の話よ。
 真野ちゃんが可愛いのは周知の事実ですからね」

 そう言えば、民までまるで希和子のごとく余計な世話で

「それは言えてますよね。
 明君も、気が引きたいならもうちょっと別な言葉選べばいいのよ?」

「!???何勘違いしてんすかっ!!
 いい加減にして下さいよ!!訴えますよ」

「誰に?」

 と、民に諭されてしかも民にツッこまれた明は逃げ場が無く押し黙る。

「大体、明君も男でしょお?
 真野ちゃんやあたし……ましてやこんな歴々の女性に囲まれて、
 男の本性出ないって、どっか悪いの?
 苦い過去でもあるのかしら」

「はあああ!?」

 今度は出し抜けに希和子に半ば言い当てられたのと、しかも何の脈絡もない『歴々の女性』と言う、目の前の老女をはじめとしたおばちゃん婆ちゃん軍団と、唯一の真野を含んだとしても絶対に明には受け入れ難い言葉が明の目を血走らせた。

「何よお。そんなに青筋立てて目まで充血するほど気恥ずかしいの?
 本っ当かーわいいんだから」

 明の動揺などこれっぱかしも汲み取る気のない希和子は見当外れに笑みをこぼすが、流石に恐れ入りながら民が訂正する。

「それ違ってると思います……」

【2010.4.29 Release】TO BE CONTINUED⇒

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