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Story&Illust by 森晶緒
“Star-Filled Sky” by 佑樹のMusic-Room
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<Dream-15> もう一つの能力

 しかし!!瞬間、美頬の言葉に目の前が暗くなり、意識が遠のく様に反応する実多果。

『え!?』

 既に美頬の存在にも気がそぞろな実多果には、激しく動悸が脈打つ音が体内と鼓膜に響いてくる。

 実多果は心の内でざわめくのが押さえられない。

『何これ……何?ちょっと待っ……』

 そう心の中で叫び、胸を押さえ付けるが、目の前の美頬は洞察力の鋭さもどこへやら、話に夢中で、実多果の異常にも気付かずに話し続ける。

「あたしもこの他人の夢にシンクロする能力、
 生まれた時から持ってた訳じゃないのよねー
 ……ある女が置いてったんだけど………」

 実多果には美頬の言葉は届いていない。

 実多果の動悸の音だけが、実多果の内でどんどん大きくなる。

「あんたさあ、何であたしの話なんか聞きた……?」

 と流石に実多果の変調に気付くが、既に遅く、一番大きな動悸の音と共に、崩れ落ちる実多果。

 暗い。微かにまだ残る意識でそう感じる実多果に美頬の叫びが聞こえる。

「ちょっと!?あんたどうしたの!?」

 しかしそれはくぐもっていてはっきりと実多果に理解はできなかった。

 それでも、実多果の意識は条件反射としてもうろうとしながらも応える。

『声が………遠い………』

 尚もくぐもった美頬の声がとぎれとぎれに小さく聞こえるが、どんどん更に小さく遠くなって行き、何を言っているかさえ実多果にはもう分からない。

 薄れ行く意識の中で、実多果は必死に自分に問い掛ける。

『何であたしはここに来ちゃったんだろう……
 そうだ………あたしに欠けてる何かを………』

 現実では、倒れている実多果の胸に耳を当てて、心臓の音を美頬が確かめている。

 それすらも知らず、実多果は意識で形にする。

『答えを………この人は持ってそうに……思えたんだ……』

 そして実多果の意識は深い暗闇に落ちて行く。

 実多果の心音を確かめた美頬は、一安心した様子だが、真剣な面持ちで独りごちる。

「脈も呼吸も正常……気ぃ失っただけか………」

 美頬はまるで慣れている様に、倒れたままの実多果の上半身を胸に抱えて、実多果をしばらく観察する様に見詰めながら考えていたが、決心したのか実多果の頭を、そっと緑色のラグのフカフカした上に置くと、横にされて気を失い瞳を閉じている実多果の顔に自分の顔を近付け、

「ごめんね。あたしができる能力って、本当は夢見だけじゃないのよ…
 ……夢を入口にして………」

 そう呟きながらおでこを実多果のおでこにそっとくっつける。

【2020.4.25 Release】TO BE CONTINUED⇒

 

 

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