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Story&Illust by 森晶緒
“Star-Filled Sky” by 佑樹のMusic-Room
Site arranged by 葉羽

<Dream-14> 魂の在処

 実多果は警戒していたのも忘れて思わず言葉にする。

「……何でそんなに、こないだと違うんですか?
 くだけてるって言うか……距離が無いって言うか……」

 ブフッと思わず飲んでいたハーブティーを口からテーブルにこぼす美頬。

「!?」

 美頬の狼狽に、驚き慌てて実多果が手を貸していいものか、拭くのかと腕をバタつかせておたついていると、こぼした当の本人である美頬は何食わぬ顔で

「あら、失礼……この前は、ほらさ。あんた叔母さんと来てたじゃない。
 柿崎さんはスポンサーだし…気い遣ったのよ、一応ね。台拭き台拭き」

 とこぼしたハーブティーのカップは傍らに置いて、片付ける手間も考えて既に側に置いていた台拭きでせっせとテーブルを拭く。

 ハーブティーは、さほど色がついてはいない種類だったたため、台布巾にも染みはできなかったのを確認して安堵しながら、今度は注意深く、しかし尚も聞かずにいられない実多果は、

「……カツラ…とかも……霊的な……とかじゃ………」

 美頬は顔を上げて実多果を見ると、ヤケにキッパリと断言する。

「あれは単なるイメージ戦略。雰囲気作りの遊びよ遊び。
 だから意味なんて無いわよ。でも似合ってたでしょ」

 と平然と言い切る。

「……意味…無かったのか………」

 呆然としながら、自分の思い過ごしと、美頬に少し呆れて呟いてしまう実多果。

 美頬はそのまま何気なく話続けて、

「元々、寝て見る夢に意味なんて無いしさあ」

「え?」

 半ば無意識で出た台詞に、実多果の声でハッと口を滑らせてしまった事に気付いた美頬は、『しまった!!』と慌てて、

「あ!?ああ!!何でもない、本当何でも」

 勢いよく手を振り、取り繕うにしてはお粗末ながら否定する。

「…………」

 不思議がりながらも、ひとまず懸案事項が片付き、美頬の態度にも安心した実多果は、ハーブティーをやっとゆっくり香りと味わいを意識しながら飲むと、随分和んだらしく、来訪した時に比べれば格段の柔らかな表情で

「………美頬さんは……会社も行ってるんですか?」

 実多果が気に止めなかった事に胸を撫で下ろしつつ、態度の緩和に歓迎の意味合いも含めて、美頬はあけすけに返事をする。

「あったり前じゃない。
 『夢見屋』だけで食って行ける程、ぼったくってないっすよあたしは。
 そこんとこ勘違いしないでよ?ピンクレディーのミイちゃん!」

 そう実多果に念を押すと、実多果は返事の代わりに何の気も無しに問い掛けていた。

「じゃあ何で、他人の夢見たりなんて商売……」

「……………」

 美頬はやや考えてからおもむろに、

「そうだわね。不思議かもね」

「………」

 美頬は、はっきりとした目が覚める様な正気の瞳の輝きで切り出す。

「ただ単に………探してんのよ。魂の在処を」

【2020.4.25 Release】TO BE CONTINUED⇒

 

 

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