引っ越し (詩:葉羽)
壁の時計を外す
この部屋の時が止まる
カレンダーを剥す
この部屋の歴史が消える
僕は本を束ねている
君はコンロを磨いている
昨日までの想い出を数えながら
カーペットを剥す
この部屋の表情が消える
鉢植えを仕舞う
この部屋から気配が消える
笑い転げた日も
悲しみに暮れた日も
そっと記憶にしまい込む
ダンボール箱を持ち上げて
ふいに僕が笑うと 君は怪訝な顔をする
あはは 何でもないんだよ!
君が箱に書いた「なべ」という文字が
とても可愛いくて・・・
さあ また新しい生活が待っている |