児孫の和楽 (詩:葉羽)
「高き住居は児孫の和楽
想へ惨禍の大津波」
八十年前・・・
大津波に呑まれた町の人々は
高台に建てた石碑に そう刻んだ
そして3.11がやって来た
祖先の教えを頑なに守り
高台にしか家を建てなかった
彼らの児孫は惨禍を免れた
千年に一度の大津波・・・
一人の人間がそれに遭う確率は
人生八十年として 八パーセント
意外と簡単にやって来る
「高台は不便だ」
被災地では 家があった元の場所に
戻る人が相次いでいるという
家を失い仕事を失い
愛する家族を失った人々・・・
一人ひとりの重い判断を
誰も責めることはできない
だがしかし・・・
それでも言えることは
石碑の教えを守った児孫たちの
欠け替えのない命が救われたという
たった一つの『事実』
「高き住居は児孫の和楽
想へ惨禍の大津波」 |