その40
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  貴婦人は行く (詩:葉羽)

 彼女は小学校の校庭で眠っていた
 170万キロという
 途方もない旅を終えて・・・

 灼熱の陽射しの中を・・
 そして豪雪の吹雪の中を・・
 人々の生活と命と夢を運び続けて20有余年
 その優美な姿を讃える歓声も
 今は遠い思い出

 最後の旅は昭和44年・・・
 会津から新潟行きの普通列車を牽引し
 そして淋しく一生を終えた
 国鉄無煙化計画・・・
 仲間たちも 次々と現役を引退して行った

 そして30年の時が流れる・・・
「もう一度 走らせてやろうじゃないか」
 誰かが そんなことを言い出した
 その熱い想いは 
 たちまち大きなうねりとなった

 高らかな汽笛
 力強いシリンダーのリズム
 そう・・・彼女を愛する人々は
 30年間 一度も手入れを怠った事がなかった

 夢よもう一度・・・
 会津野を駆け抜けて 貴婦人は行く
 私たちの熱い想いと
 遥かなる夢を積み込んで

「磐越物語号」と名付けられた C57 180
 今再び 白煙をたなびかせ
 過去から未来へ・・・
 その命果てるまで・・・

Poem by 葉羽
 MP3 by Blue Piano Man"Tears Of Umbrella"
  Photo by なっちヤン
   Site Arranged by Habane

 

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