プラネタリウムの夜 (詩:葉羽)
君の入院前の ささやかな贅沢
天蓋に映し出される 銀河鉄道の夜
僕らは宙(あま)駆ける 白鳥になった
ほら あれがアルタイル
向こうが こと座のヴェガ
僕らは自由だよ 二人して星の海を渡る
僕の言葉に うなずくけれど
君はずっと ミルキーウェィを眺めてる
忘れかけた 思い出を辿るように
君がふいに 僕の手を握る
ねえわたし いつ死んでもいいのよ
だって ずうっと幸せだったもの
僕は目を閉じて 君の手を握り返す
命の事を 言ってはいけない
運命は 神様の決めること
いつか 二人の魂が
宙(あま)駆ける 白鳥になったなら
永遠(とこしえ)の果てまで 一緒に行こう
(※妻が手術入院をする最後の夜に) |