その29
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  君が教えてくれた真実 (詩:葉羽)

 障害者技能競技大会って知ってるかい?
 なんだ みんな知らないんだね
 実はこの僕も 去年までは知らなかったのさ
 あっはっは! だめじゃんネ・・(うん)

 でも みんな聞いてくれ
 これが意外と面白いんだよ!
 そりゃあ ハデな競技はないけどね
 なんたって 選手はみんな一生懸命さ

 来てくれたら きっといい事あると思うよ
 去年はね 障害者の人たちの売店で
 こーんな大きなメロンを売ってたのさ
 なのに値段は お値打ち価格の500円!

 ♪ララララー 君は車椅子 僕は痛風
 ちょっと 個性が違うだけだよ
 ♪ララララー 君は点字が読める 僕はラーメンが好き
 ほんの少し 得意分野が違うだけサ

  ・・・(間奏)・・・

 ・・って言ったのに やはりお客は少ないな
 まあ 観客が多いと 選手も緊張するしね
 とは言え 観客のいない会場に たったの4競技
 ちょっと 寂しすぎるんじゃないのかい?

 今年から始まった 喫茶サービス
 これは結構 人気があるみたいだよ
 マスコミの取材も入ったし
 なんたって この僕もお客役で出るワケだし!

 そんなに固く ならなくていいんだよ
 セリフの暗記より 笑顔を大切にネ
 あらぁ 固まっちゃったのかい?
 ごめんね お客役が助けるのは禁止なんだよ

 ♪ララララー 君は人見知り 僕は人の名を覚えられない
 ちょっと ニガテが違うだけだよ
 ♪ララララー 君は辛抱強い 僕は明るさが取り柄
 ほんの少し いいところが違うだけサ

  ・・・(間奏)・・・

 それにしても 紙製品再利用競技・・・
 牛乳パックを溶かして 絵葉書を作るんだけれど
 地味といえば 地味すぎる競技だね
 選手二組と 審判が二人と 観客は僕一人だけ

 たった二組の出場で どっちかが優勝だって?
 いいんじゃないのか 優劣なんか付けなくたって
 だいいち そんな重みの無い金メダル
 彼女達だって うれしくは無いでしょう

 ♪ララララー 君は真剣 それなのに真剣
 ♪ララララー 限られた時間と 必死に闘っている

  ・・・(間奏)・・・

 やがて表彰式 君達のハレの舞台
 普通の表彰式なら 前に出てもらうけど
 車椅子では 壇上に登れないから
 表彰状を渡す人が 君達のところへ行くからね

 一人ひとりに 賞が手渡されて
 もらった人達は みなうれしそう
 そして いよいよ君達の番
 そう 紙製品競技で優勝した君たちへと・・・

 え? どうしたの?
 泣かなくたっていいんだよ!

 そんなにうれしいの?
 もう 泣くのはやめて!

 ・・・ごめんよ 僕が間違っていたよ

 君は こんなに大勢の人に
 祝福されたことがなかったんだね

 ♪ララララー 君は真剣
 いつだって真剣
 ♪ララララー 自分の運命と
 いつだって必死に闘っている

  ・・・(間奏)・・・

 僕は なんてバカなんだ
 神様 彼女を侮辱した僕を許して下さい・・・

 たった二組での金メダルだって
 君にとっては かけがえの無い誇り・・・

 負けたチームの 二人さえも
 あんなに 心からの拍手を送っている・・・

 ♪ララララー 君は真剣
 いつだって真剣
 ♪ララララー 限られた時間を
 ひたむきに生きようとしてる

  ・・・(間奏)・・・

 ・・・ごめんよ 本当にごめんよ
 自分が情けなくて くやし涙が頬を伝うよ

 僕は今日の日を きっと胸に刻むからね
 君の美しい涙と 君が教えてくれた真実を・・・ 

 ♪ララララー 君は一生懸命 いつだって一生懸命
 神様のくれた時間を 大切に過ごしている
 ♪ララララー 僕は忘れない 決して忘れない
 君が教えてくれた かけがえのない真実を

 (2007.9.29開催「福島県障害者技能競技大会」にて)

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