その129
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   楽園の大河 (詩:葉羽)

 ヒンドゥーの聖地バラナシ
 ヴァルナ川とアッスィ川に挟まれて
 その名が付いたという

 ヒンドゥーの教えでは
 人はみな輪廻の度 大きな苦しみを味わい
 それに耐えなくてはならない

 しかし聖なるガンガーに抱かれた
 このバラナシで死んだ者だけは
 その苦しみから解き放たれるのだという

 輪廻からの解脱
 それこそが至福の願いなのだ

 だからこの街には毎日
 インド中から遺体が運び込まれ
 ガートで荼毘に付され ガンガーへ放たれる

 死期を悟った者たちもまた
 祈りとともにバラナシを訪れ
 この楽園で最後の刻を待つ

「バラナシはガートのために存在する街」
 かつてガートを移転しようとした英国政府も
 市民のそんな声に折れるしかなかった

 幾億の魂を抱き
 母なるガンガーは
 今日も静かに流れている

Poem by 葉羽
 MP3 by 音楽の卵 “運命のワルツ”
  Site Aranged by Habane
   Photo by 大和伸一”バラナシ”

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