そいつはほぼ２５年の時を経て舞い戻って来た！
　　その悪魔の囁きに僕は魅せられて・・・・・
　　そう、僕は魂を売り渡してしまったのだ・・・・・

その１：ハンティング

　狩りに遭ってしまった！
　獲物の僕は囚われの身となってしまったのだ。

　ヘッドハンティングに遭遇した僕はこの７月１日から
　会社なんて檻の中で暮らしている。

　なんだねぇ〜、その会社員って・・・
　　　　責任もリスクも少なくて良いみたいね？？？
　　　　ローリスク・ローリターンなのね！
　　　　収入の低さに驚いてしまいましたよ！
　　　　やっぱりプータローの方がハイリターンなんだね！？
　　　　全部、個人でやらなくちゃいけない訳だからぁ・・・・
　　　　なぜってぇ〜
　　　　結婚願望が強くてさぁ、’安定’って言葉に負けたのよ！
　　　　それから、僕自身が商品だった訳で、
　　　　まぁ年寄りだから、売れなくなっちまったのね！
　　　　僕が顧客だったら、僕の値段で若いの二人使えるからね！
　　　　まぁ、買わないわなぁ・・・・
　　　　そんなこんなでドブネズミ色のスーツ着てネックタイ締めてさ
　　　　地下鉄で通ってる訳ですよ！
　　　　’３ヶ月仕事が無かった’なんて危険からも回避されてさ
　　　　全然、楽チンなんだわぁ〜
　　　　だって、当たり前じゃない、
　　　　会社がやる事を一人で全部やってたのにさ
　　　　今や、たった一つの部署がやるべき事さえ
　　　　やってりゃぁいいんだぜぇ〜いやぁ楽だわぁ〜

　　　　（企業毎に風土や文化がありますので・・・・
　　　　　単純に自分の場合の感想を述べております。
　　　　　他意は在りません。！）

　それでは、僕の檻の前の看板を御紹介しておきましょうかね！→

　金融関連、顧客管理、請求入金・収納管理等のキャッシュフロー、
　および、資金ポジション管理に関わるシステム導入に際しては
　是非、御声を掛けて下さい！
　経理・財務会計何ぞも手掛けますので、何卒、夜露死苦！！！

　しかし、怪しいよねぇ〜
　コンサルタントとか、カウンセラーとかアドバイザーとかさぁ・・・・
　ああ、怪しい！　怪しくて仕方ない！！！

　（職人気質の僕は本当はまだまだ、現場で頑張りたかった！）


その２：生活設計の見直し

　僕は冗談のようだが、堅実である。
　生活機能毎に口座を持っていて振分けて生活している
　必要経費・生活費・レジャー・余剰・・・Ｅｔｃ
　収入形態・規模の変更に伴い予算再編成を実行した。

　何度計算しても、車の口座だけが身の程知らずだ・・・・・
　年収の半分以上の価格の車は手にしない様にしている。
　だから、羽振りの良い時は２台持っていたり・・・・
　逆に売れない時はボロに乗っていたりする。
　
　駄目じゃんこれっ・・・・・
　　　　（僕はためらわずに、僕の淑女ＴＴとの別れを決めた！）
　　　　しょうがねぇ〜　フェアレディかＲＸ−８だな！
　　　　まてよぉ、プジョー２０６とかビートルって手もあるなぁ！


その３：Ｑuattro-Sports

　僕はＡＵＤＩのディーラーを訪れていた。
　売買レートを知る為だ・・・・・
　そこにソイツは居た。
　　　
　　　　　ＥＶＩＬ−ＭＡＣＨＩＮＥ
　　　　　　　　　　ＡＵＤＩ　ＴＴ　Ｑuattro-Sports

　「朱雀さん、これどうですかぁ、出ましたよクワトロ・スポーツ！」
　「限定１５０台、千葉には３台しか入荷しないんですよ！」

またまたぁ、どうせスポーツの名を語った
　　　デートカーじゃねぇのぉ！？
　　　「だめだめぇ、屋根が空かなきゃ車じゃねぇよ！」
　
　「そう言わずにＳｐｅｃを見て下さいよ！」
　僕は驚愕してしまった。
　これは、ＰＵＲＥ−ＳＰＯＲＴＳだ！
　シャーシは一度切って補強してあるし・・・・
　エンジンは別物、足回りはドイツ・クワトロ社製
　ブレーキ等のＰＡＲＴＳはドイツ・ＣＯＸ社製・・・・・
　あっ、あああ、コイツ本物だぁ・・・・・！！！！！
　むしろコンペティション・マシンに限り無く近い・・・・・
　コンピューターをちょっと弄って、２０パーセントも出力を上げて
　安全対策を施せば、まんまラリーやツーリングカーレースに出れる。
　ＴＴの衣を羽織ってはいるが、まるで別の車なのだ！

　’クワトロスポーツ’は２５年程前にＡＵＤＩが乗用４ＷＤを
　世に出す為にＷＲＣに参戦した時の競技車両の名だ！
　ＡＵＤＩはＳＰＯＲＴＳ−ＣＡＲを持たないメーカーだった。
　だが、そいつは遂に帰って来た、栄光のネーミングを引っ提げて・・・

　ちょっと、冷やかし気分で入荷したのは何色？なんて聞いて見た。
　「黒銀のツートンです。」
　「黒赤（朱雀カラー）だったら、ちょっと考えるんだけどなぁ！？」
　「ちょっとお待ち下さい！」・・・・「在りましたよ黒赤！！！」
　「今日一日、バーター（とっかえっこ）で押さえました！。」
　「えっ！！！うそぉ〜」
ほっほしいぃ〜
　　　イヤイヤ、いけねぇ〜
　　　自分のポリシー・ルール・信念を
　　　簡単に変えちゃぁいけねぇ！！！
　　　「なっなんだよ！左ハンドルじゃねぇの！
　　　　俺、右利きだから駄目だよ！！！」　　　　　
　
　訳の判らない捨て台詞を残して、僕はディーラーを後にした。


その４：悪魔の囁き
　
　若い頃の僕が、黒い羽を生やして囁きかける！
　「今しか手に入らないんだよ！！！」　
　　　　「もう二度とこんなチャンスは来ないんだよ！」
　　　　「あんな車に乗れるやつはテラ（地球）規模でも幸せ者さ！」
　　　　「支払いなんか、買っちまえばなんとかなるよ！！！」
　　　　
　　　　「ぎゃぁああああああ・・・・・・うるせぇぃいいいいい・・・・！！！」
　
　　　　「ちわぁ、朱雀です。
　　　　　Ｑuattro-Sports　車両押さえて置いて下さい！」

　そいつはほぼ２５年の時を経て舞い戻って来た！
　その悪魔の囁きに僕は魅せられて・・・・・
　そう、僕は魂を売り渡してしまったのだ・・・・・

その５：御成約

　翌日、僕は契約書に実印を押してしまっていた。

　今の車ＴＴ−Ｒの１．５倍の出力・・・・・
　値段も今の車の１．５倍・・・・・・・
　どうすんだよぉ〜こんな物、買っちまって・・・・・

　今の車ＴＴ−ＲをＬＡＤＹとすると・・・・
　Ｑuattro-Sportsはジャジャウマの御転婆娘！！！
　僕に乗りこなせるのだろうか・・・？？？
　　
　とにもかくにも
　マンションを除けば、人生で最大の買い物をしてしまった。
　
　いいんだよ朱雀！
　男にはね、’男のロマン’とかオモチャとかがないと
　仕事も頑張れないのさ！！！

　まして、人生の転機を迎えたのだから、記念にピッタリじゃないかぁ！

　あほぉ〜
　自分に言い訳する為に、ＨＰ使ってんじゃぁねぇぞぉ〜
　まぁいいかぁ！なんとかなるさ、Let it be!
　
　困りながらも、ニヤニヤしながら、納車を待つ朱雀でありんした！！！

　（ＢＹ　朱雀ＲＳ　2005.7.9）