BGMは「Fair
Wind」 (TAM Music Factory) |
by朱雀RS |
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=前回のあらすじ=
予備校通いの日々を送る朱雀RSは、ある日、義兄弟のS一と出かけた山小屋で運命の人“E美ちゃん”と出会う。
やがて大阪の枚方市に住む彼女のもとを尋ね、最初のデートへと漕ぎ着けたRSだったが、彼女にはポパイという彼氏がいることが判明。
しかも、彼女は学校を卒業すると故郷の広島にどうしても戻らねばならぬ事情があるという。
はなから実るはずのない恋・・・・・
どうするんだよぉ〜 600Mile彼方の彼女!!!(うっうっ)
1 天使は“お嬢様”
ある日、東京に住む僕のところにE美チャンから連絡が入った。
彼女のお姉さま夫婦が東京に御住まいだったので、東京へやって来るというのだ。
僕は精一杯の背伸びをして、ブルガリア料理・・・・子牛のナントカと赤ワインを、銘柄は’トラキア’を・・・・・・・
だが、彼女と行動を共にして、僕は気付いたのだった。
どうしよう? この娘、スゲェ’御嬢’!?
うんにゃ、負けてなるものか!
田舎のおらが村じゃぁ、僕だってちょとした’坊’だもの!!!
義理のお兄様が、目黒で貸スタジオを営んでいるということなので、そこまで送っていくことにした。
するとそのスタジオには、竜童やドクトル梅津(良くRCサクセションのバックでサックスを吹いている叔父様)がいた!
眩しい、眩しすぎるぅ〜っ!
僕は圧倒された。
田舎者という言葉に唇噛み締めて・・・小さなヤクザにもなれやしないまま朝の光から締め出されて生きていた僕である。
‘身分違い’・・・そんな言葉さえ脳裏をかすめた。
E美チャンへの想いは少しも変わらなかったが、田舎者の足は震えて前に進めない。
・・・口惜しかった。
笑顔を無理やり作って彼女に別れを告げ、逃げるように雑踏の中へ。
‘またね’・・・たった一言が言えなかった自分を責め続けた。
これまでか・・・
僕は、泣くことさえできずに、人ごみの中を歩き続けた。
街の明かり
2 ある日突然・・・
それから何年か過ぎ去ってしまったが、手紙の習慣だけは続いていた。
E美チャンは、故郷の広島に帰っていた。
僕は就職して、マトモに暮らし初めていた。
僕は毎年の暮れには、八ヶ岳の山小屋の納めのX'mas-Partyに出席するのが習慣になっていた。
すると、ある日突然!!
あれから4年もたった冬のPartyに突然、E美チャンが来るというのだ。
???????????????
取りあえず、僕は空を飛んで見た・・・・
その年に限ってS一は汽車で行くというので、僕は、東京駅迄車を飛ばし、彼女と再会を果たしてそのまま長野へと向った。
二人きりのドライブ・・・・・・・
その時間の記憶が無い、舞い上がっていた・・・・・
彼女が傍に居る事がただ、ただ嬉しかった!
山小屋に到着すると、S一が待っていた。
「どうしたんだろうな、突然、やって来たりしてさ?」
「オマエに会いに来たに決まってるだろぉが、バァカ!!!」とS一が言う。
エッ、ウソ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
Partyは盛り上がり、僕は酔い潰れてしまった。
何時の間にか、寝てしまったらしい。
ふと目を覚ますと、彼女が隣で寝ている。
‘あ〜なんだぁ夢かぁ!’
夢なんだからなんでもいいやぁ〜 KISSしちゃえぇ〜
「お砂チャン、お酒臭い!」
蹴りを入れられてしまいました。
なんて、プラトニックで素敵な関係なんだ!
朝、気付いてみると、大混雑の小屋の中、一部屋に二人きりで寝ていた。
(皆に謀られたぁ〜)
こうして、僕等は恋人同士になった。
僕たち
(Photo by 朱雀RS)
翌月は名古屋で待ち合わせ、八方へSKIへ行った!
彼女の分、一式を揃え二人分の道具を持って新幹線で・・・・・
試合では何本も持って行くのでお手の物だ!
ゲレンデでは、スーパースターだ!
やったぁ〜婚約しちまったぜ!
次の月には、はやる気持ちも抑えられず広島へ・・・
「御嬢さんを、下さい!」
ひぇ〜言っちまったぜ!
ゲレンデじゃスーパースター
(Photo by E美)
3 600Miles
広島での滞在先が、HOTELから彼女の家に替わった。
(この時に、僕は気付くべきだった・・・・)
なにも見えなかった、舞い上がってただ突き進んでいた。
東京〜広島、600Mileの遠距離恋愛!!!
広島へ、広島へと僕は向かい続けた。
彼女に会えることが、ただただ嬉しかった。
伊勢志摩や遊園地や様々な処へ出向いた。
交通費と電話代は、僕の収入を遥かに超えていた。
この距離の重さを、しっかりと受け留めておくべきだったのだ・・・。
翌年の夏には、目黒のお姉さん宅で、両家揃っての御挨拶が済んだ。
結婚式場もヒルトンホテルに予約を入れた。
婚約指輪も準備して彼女に贈った。
いつのまにか、僕の知らないうちに新居が阿佐ヶ谷に決まり、彼女の東京での就職先が決まった。
僕は、どうしても二人で決めたかったのだ。
廻りが勝手に動き出していた。
男のくせにマリッジ・ブルーに陥ってしまった。
(E美も、きっとそうだったに違いない。)
結納を控えた3日前の夜、電話が鳴った。
「あたし、やっぱり、よう行けへんわ・・・・」
身体が凍りついたように固まってしまった。
「E美チャン・・・・・」
そう言うのが精一杯で、ただ、彼女の言葉を聞いていた。
彼女のお父様は、半身不随で車椅子の生活をなさっていた。
今だから判る、介護はお母様一人では到底無理な話なのだ。
僕等の結婚は、僕が広島に移住するか、彼女の家族全てを東京に引っ張り出すしか実現しない事だったのだ。
彼女は、電話の向こうで泣きじゃくっていた。
僕は慰める言葉も持たなかった・・・。
「お砂チャン ゴメンね! 電話切るよ・・・・・」
受話器がコトリと切れた。
破談だ!
やっぱり、笑うしかなかった。
翌日、お父様が御詫びの電話をくれた。
「本当に申し訳無い・・・・御詫びのしようもない。」
・・・・いまだに、胸に深く突きささる。
4 夢破れ・・・
600Mileは、もし結婚していたら、彼女と家族との距離になることに僕はまったく気付かないでいた。
更に悪いことに、冗談ではあったが、
「嫁に来るんだから、家族を捨ててくる位の覚悟じゃないとね・・・」
などと言ってしまったことがある。
彼女は深く傷付いていたに違いない。
こうして、僕等の恋は終わった。その後、彼女の声さえ耳にしたことはない。
あれほど人を好きになることは二度となかった・・・・・・・
遠距離恋愛は良い部分しか目にする事は無い。
悪い部分や相手の事情も知って、理解することも学ぶべきだった。
僕は、彼女は、お互いに偶像に恋していたに違いない!!!
結婚は、恋って熱病を通り越したら、良き理解者で、良き協力者になることなんだと思う。
恋人で有り続けたいけれども、きっと、良い仲間である方が上手く行くんだと・・・。
それにしても、母親ってのはスゴイ!!!
「あんなに上品で礼儀正しい娘は見たことが無い!」
などと言っていた母が、
「そういえば、あの娘はどこか意地悪だったじゃない!」
などと言うのだ!
「違う! チガウぅ〜!!!!」
「カアチャン、悪いのは俺の方だったんだよ!」
「カアチャン、その話、二度としたらイケンヨ!」
あの日から、僕のカラオケでの十八番はBOROの‘大阪で生まれた女’になった。
今でもあの歌を歌うと・・・
いやっ!泣いてたまるかっ!(うっうっ)
BY 朱雀RS
(2004.9.18)
大阪で生まれた女
大阪で生まれた女 (BORO)
踊り疲れた ディスコの帰り
これで青春も終わりかなと呟いて
あなたの肩を眺めながら
痩せたなと思ったら泣けてきた大阪で生まれた女やさかい
大阪の町よう捨てん
大阪で生まれた女やさかい
東京へはようついて行かん踊り疲れた ディスコの帰り
電信柱に染み付いた夜辿り着いたら 一人の部屋
裸電球を点けたけどまた消して
あなたの顔を思い出しながら
終わりかなと思ったら泣けてきた
葉羽
朱雀RS君の青春の切ないストーリー。
次の同級会で、彼が「大阪で生まれた女」を歌ったら、泣き出す友達も出てきそうだなぁ・・・。
次回もまた、「スーパー・アンラッキーストーリー」をお待ちしています。
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